2013年11月21日

食用だったトッケィ(28)

一家に一匹は棲みついている、トッケィ。
(トッケイに数え方は、匹でいいのかな?)

南方のヤモリの一種。

学名はゲッコー(gekko=gecko)。

インドネシアではトッケィ、ベトナムではカッケーと呼ばれる。

どれも鳴声からきた名称だ。

甲高い声でつづけざまに鳴きたてる。

とてもヤモリとは思えないような高声なので、慣れないうちは驚かされる。

7回続けて鳴くと、幸運がおとずれると信じられている。

身の丈30センチ近くになり、顔がデカイ。

ぶよぶよのゴム質の肌に赤い斑点だったリ青点が散らばっていたりする。

住人は歓迎していないのも知らずに、本人は家守のつもりでいる。

普段、屋根裏に姿を隠していて、トイレの時に表に出てくる。

彼らのトイレは、たいてい、場所は決まっている。

天井の、そして、なぜか角地が多い。

尻尾をあげてお尻を出して、力む。

少しの水分と大きなウンコを落とす。

目の前のコーヒーカップに、ポチャン・・・・。

気づかずに一気飲み。

以前、干しぶどうに紛れ込んでいたのを知らず、口にしたことがある。

※「テガランタン村滞在記・トッケイの鳴き声(63)」を合わせてお読みください。


つけっぱなしのテレビから、トッケイと言う単語が聞こえてきた。

振り向くと、トッケイの腹をハサミで裂くシーンが映っていた。

何のニュースをやっているのだろうと、テレビの前に移動した。

次に映ったのは、家内工場の風景だった。

忙しく働く女性達の作業台の上には、ウチワのようなものがうず高く積まれている。

ウチワは、小動物の剥製のように見える。

よ〜く見ると、それはトッケイの薫製だった。

大きさの揃ったトッケイが、開きになって串に刺されている。

立派な頭がついている。

数百匹はいるだろう。

この数を確保するためには、養トッケイ場があるはずだ。

金網で造られた大きな鳥かごを、思い浮かべた。

養トッケイ場いる多数のトッケイが、一斉に鳴く光景は凄まじいだろうと想像する。

あまり近寄りたくくはないが、怖いもの見たさで見学したい。

「ゲッコー・ゲッコー」「グァゴー・グァゴー」「ファックユー・ファックユー」「ポッポー・ポッポー」の合唱は、いったいどんな音響になるのだろう。

ジェゴグのムバルンのように、壮絶な音の戦いになるのだろうか。

もしかして、重低音が心地よい響きになるのかもしれない。

トッケイはどんなタイミングで、そして、なぜ鳴くのだろう。

何かの意思表示でもあるのかな、ふと思った。

「求愛のメッセージかも」と知人は言った。

トッケイに雌雄があるかどうか無知だが、鳴いているのはオスかもしれない。

クジャクのオスが自慢の羽根を見せるように、艶やかの声でメスに呼びかける。

トッケイのメスには、あの音色に悩殺されるのか。

ニュース・キャスターのコメントでは、取材は東ジャワ(ジャワ・ティモール)のようだ。

聞き逃して地名はわからない。

「かゆみ止めに効く」「アラックに混ぜて飲む」と言っている。

インドネシアの伝統的薬用ジャムーとして、輸出しているようだ。

私の語学力では、これ以上は理解できなかった。

バリ人でも、トッケーを丸焼きにして薬として服用していると聞く。

効能のほどは定かではない。

sate1.jpg

シドゥメン村に行く途中のことだ。

「私の家は貧乏だったからトッケイをサテ(sate)にして食べていました」

アパ?スタッフのヤンディ君が、ハンドルを握りながら衝撃的な発言をした。

「味は鶏肉みたいで、身体が熱くなってくる」と、ヤンディ君は懐かしそうにつぶやいた。

食用と言えば、バリ人はチチャッも食べていた。

これは可憐な、素速い、よく働くトカゲで、ランプの灯に寄ってくる虫をせっせ食べてくれる。

夜じゅうお互いにチッチッと鳴きかわしつつ勤勉に働き、朝の光といっしょにどこかへ消えてしまう。

チチャッには、グレー色の濃い種族と、透けるような色白の種族がいる。

「色白のチチャッは鶏肉のように美味しいよ」とテガランタン村のオカちゃんは言う。

串に刺して、イカのように姿焼き。

「サテ・チチャッ7本、おまちょど〜さま」

チチャッは、デウィ・サラスワティの化身だと言われている。

デウィ・サラスワティは、学問と芸術の女神。

会話の途中に「チチ」とチチャッが鳴くと「今の話は神様が認めているよ」ということらしい。

えっ! デウィ・サラスワティの化身を食べて、罰は当たらないのか。

そして、銀色に輝く肌を持って庭をはいずっているトカゲも食べる。

バリ語でルラサン(Lelasan)、インドネシア語ではBengkarungと呼ぶトカゲ。

バッソのスープに入れて食べると美味しいらしい。

「エナッ(おいしい)」と影武者のウエーター、ワヤンは言う。

試食したいと言うと「捕まえるのがたいへんです」と真顔で答えた。

「蛇に似た味だよ」ウエートレスのダユーが会話に参加して来た。

ダユーは、蛇を食べたことがあるのか?

バリ人の食文化は、底知れないものがある。

nasi1.jpg

「お誘いいただいた、トッケィ・チチャッ・ルラサンの試食会は、当方の健康上の都合により遠慮させていただきます」
posted by ito-san at 17:30| Comment(0) | TrackBack(0) | ウブド村徒然記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする