バリ島東部カランガッサム県のリゾート地「チャンディダサ」海岸の砂浜が無くなったのは、もう10年以上前になるだろうか。
白砂の海岸と沖に見える小島の風光明媚な風景が売りだったチャンディダサは、海岸線の消滅で観光客も途絶えがちだ。
ここ3年ほど前から、ギャニアール県南部の海岸も浸食されてきている。
浸食は地球の温暖化が原因と思われているが、世界中の各地には、逆に陸地(海岸)が増えている地域もある。
地球が変化していることを知らされる。
海岸の浸食は、バイパス工事に大量の砂を使用するため沖合で砂を掘削したからだ、との噂もある。
開発が環境破壊の弊害を起こしているのかもしれない。
久しぶりに「サテ・イカン=魚のつくねの串焼き」を食べに、ギャニアールの海岸サボ(Saba)に出かけた。
サボ海岸に行くにはバイパスを横切る。
行き交う車の少ない交差点に、信号はない。
信号のないバイパスを横切るには勇気がいった。
サボ海岸を起点にして、ルビ(Lubih)海岸を往復する乗馬がある。
私も2度ほど経験している。
数年前からルビ海岸と中間地点の海岸に高い波が押し寄せるようになり、サーフポイントとなった。
チュチュカン村にあるから、ポイント名は「チュチュカン」と呼ばれているようだ。
サボ海岸に、一軒のワルンがある。
《2013年3月19日:流木を拾いに(1)》にも書いた、仲良くなったおばちゃんが娘と切り盛りしている店だ。
10年以上前から、年に一度くらいの割で訪れている。
5年前の大波で店が流され、以前の場所より10メートルほど後退して建て直された。
幅の広かった海岸は浸食され狭くなった。
今回は、パチュン家に滞在始めたヒロさんと連れ立って向かった。
海岸は以前にも増して削られていた。
店は残っていたが、おばちゃんはいなかった。
経営者が変わったのか。
もう、おばちゃんのサテ・イカンを食べられないのだろうか。
どうしても、ヒロさんにサテ・イカンを海辺のワルンで食べさせたい。
足を伸ばして、ルビ海岸に移動することにした。
サボ海岸もルビ海岸も、バリのヒンドゥーの浄化儀礼「ムラスティ」の行われる場所だ。
ウブドの村々も、これらの地で儀礼を行う。
ムラスティの日には、村のススオナン(ご神体)が村人総出で運ばれる。
海辺を埋め尽くし、海に向かってお祈りをする正装のバリ人の姿は厳かだ。
この日は吉日でないのか、見られなかった。
ルビ海岸も浸食が始まっている。
石造りの頑丈そうな祭壇が設けられていた。
祭壇の左右は堤防になっていて、海側には波を砕く為の大きな石が並べられている。
堤防は歩道になっているが、ほとんど船置き場と化していた。
海岸は狭く、砂浜に腰をおろしてお祈りを捧げることは難しくなった。
この地は2008年に、義兄・久保田博己さんの散骨をした思い出深い場所だ。
我々が腰をおろしてお祈りをした砂浜は消えていた。
強風吹きつける中でお祈りを捧げたのを思い出す。
さて、お腹もすいてきた。
昼食にしよう。
ルビ海岸は、ムラスティ以外にも地元の人が訪れる行楽地のため、毎日ワルンが開いている。
以前は、砂浜に直接建てた安普請の掘建て小屋で、砂の上にゴザを敷いて腰をおろし低いテーブルで食した。
低い目線で水平線を見るのが好きだった。
今は、椅子&テーブルが用意されている。
一番海側に近いワルンに入った。
やはりお決まりのサテ・イカンだろう。
サテと空芯菜の炒め物、そして魚肉団子の入ったスープのセットを注文した。
いずれも辛いのでご注意!
私はスープを飲み干すと、必ずお腹を壊す。
お腹を壊すことはわかっていても、美味しいので飲み干してしまう。
ヒロさんも辛すぎて、残している。
さあ、急いで帰らないと。