2014年12月02日

祠の屋根の葺き替え作業(89)

白い雲が空一面を覆い、青空を遮っている。

陽射しは柔らかく、過ごしやすい。

気温が高く生温い風が吹くと、雨が降ると予告する。

2日に1回は雨が降るようになった。

スコールと呼ぶには弱い雨だ。

毎日、雨が降るようになり、降雨時間も長くなる。

雨の合間に、晴れ間が見える。

こうして雨季は、徐々にやってくる。

早朝の4時。

雷の音で目が覚めた。

近くに落ちたような凄まじい音だ。

スコールの音も聴こえる。

ゴロゴロ・ガラガラ・バッシャン。

バリバリと雷の音が、何度も響いた。


先週からパチュン家では、ムラジャン(家寺)の祠の屋根の葺き替えが始まった。

15年ぶりの葺き替えらしい。

祠は、プリンゲー(=Palinggih、ローマ字表記がはっきりしない)と呼ばれている。

バリの寺院には、必ずいくつかのプリンゲーがある。

プリンゲーは椅子の意味で、神が降臨する祠のことを指す。

神々が降臨する12月17日のガルンガン祭礼日前には終わらせたいようだ。

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9月18日:パチュン家ムラジャンのオダラン。修繕前の祠が見える。


今回の素材は20年間は耐えられると、パチュン君は言う。

屋根に使われるのは、ジャコー椰子(シュロ椰子)の幹を包む黒い樹毛。

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年々、バリ島のジャコー椰子が減り、樹毛が入手困難となり、ジャワ島から仕入れられているそうだ。

運ばれて来た樹毛は、すでに掃除され選別された状態だった。

材料がなくなれば、屋根の素材も変っていくだろう。

家寺が地上から一階二階の屋上に設置されたように、焼き物の瓦や新建材の屋根になるのか。

地中とは、土を詰めたパイプで繋がっているから良しとする屋上の家寺。

地霊も苦笑いしていることだろう。

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屋根葺きの構造には、それなりに理由がだろう。

私の語学力では理解できないだろうと、聞くことをあきらめている。

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カット作業は大変に見える。

専門のノミでカットする。

ヒゲは、魚の小骨ほどの固さで簡単には折れなかった。

ノミのような道具は、バリ語でKAPATと言うらしい。

ちなみに、ノミは、パハット(pahat)。

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仕上げのブラシかけ。

近づいている雨季を心配したが、葺き替え作業は2日間で終了した。

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あとは、パチュン君が自ら着色する。

器用なパチュン君は、なんでもこなす働き者だ。

「12月6日の満月の日には間に合わせるんだ」と意気込んでいる。

ムラジャンから、調しっぱずれの口笛が聴こえる。

インドネシアで人気の日本の歌、五輪真弓の「こころの友」だ。

奥さんのマデは、ギターを弾き日本語で唄うことができる。

日本人のお客様が訪れると披露することもある。

仲の良い夫婦だ。


※後日談
パチュン君の着色作業も滞りなく終わり、12月6日はプマンクによる儀礼が行われた。

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posted by ito-san at 15:53| Comment(1) | TrackBack(0) | テガランタン村滞在記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする