2016年01月08日

カジェン通りの続き(21)

カジェン通りで思い出したことがある。

ウブドに滞在を始めた頃(1990年)。

昼下がりカジェン通りを歩くと、道端で鶏を大事そうに抱えている男性衆や、門前に腰をおろして白髪を抜き合っている女性達を見かけた。

のんびりした風景だった。

しかし私は、この時、彼らが怠け者に思えた。

昼間から時間を潰す姿は、日本では許されない。

私は、日本では怠け者のレッテルを貼られる。

彼らを見て、ここなら私でも住むことが出来るのではないかと感じたものだ。

時間がゆっくり流れているように思えた。

彼らは、すでに早朝の仕事を終えて、一服しているのだと後から知った。


この悠々然としている彼らの個性が、滞在を初めると問題になってくる。

工事現場の遅れ、発注した商品が納期に間に合わない。

「出来た時が納期だ」とでも言うように、こんなことは当たり前だった。

これで腹を立てていては、ウブドに住めない。


影武者、昨年末の夜。

大阪から戻って来たバリ嫁と再会。

火葬儀礼の準備をするバリ人の話になった。

彼女の家の空き地で、火葬用の神輿(バデ)が作られていた。

「こんなにのんびりやっていて間に合うのかしら」と心配するほどの出来だったそうだ。

ところが彼女の心配をよそに、儀礼日前日には、2階の窓からバデが見られる高さになっていたそうだ。

人海戦術の成果なのだろうけど、いざその時になると出来上がっている。

慌てず、騒がず、皆が均等に働いて結局はピタリと辻褄が合う。

何につけても悠々然としている彼らだが、こと儀礼となるとキッチリこなす。

彼ら固有の時間感覚があるのだろう。

いったい彼らの精神はどうなっているんだ。

バリ人気質の疑問がひとつ増えた、夜でした。


posted by ito-san at 17:45| Comment(0) | TrackBack(0) | ウブド村帰郷記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする