2013年12月27日

ウブド・宿泊施設の変遷(35)

バリ島には、世界各国から観光客が押し寄せて来る。

日本人観光客は横ばいだが、ここ数年、中華系(台湾、香港、中国本土)、大韓民国、ロシア連邦の観光客が目立つようになってきている。

経済成長している国々だ。

世界中から “癒しの観光地” として注目されているバリ島。

職人不足になるほど建築ラッシュは続き、開発途上の景色を作っている。

ホテルはアパート形式で部屋数は多く、供給過多ではないかと、他人事ながら心配してしまうほど宿泊施設が増殖している。

別荘地としても世界中の富裕層から注目されているバリ島。

近年は、投資目的の長期リース・ヴィラが増えている。

これらが、地価高騰の要因と言えるだろう。

「諸行無常」、発展を避けられないのはわかっている。

地形を壊さず、自然との調和を保った建築を期待したい。


ウブドに旅行者が泊まったのは、ウブド王宮が最初だった。

その時はゲストとしての宿泊で、本当の意味でのホテルではない。

外国人旅行者としてヴィルター・スピースが滞在し始めた時期、ウブド王宮は宿泊施設としての役目を果たしていたと思われる。

一般観光客を泊めたホテルは「ホテル・チャンプアン」と「ムティアラ・ホテル」(1955年)から始まった。

ホテル・チャンプアンは、ウブド王宮がウォルター・スピースに提供した土地に、彼が建てた住宅を改築してオープンしたホテル。

現在は、ウブド王宮の所有となっている。

ムティアラ・ホテルは、ウブドの変則十字路西・ワンティラン正面にあった。

現在「レストラン・ココビストロ」がある一画だ。

部屋は8室で、ジャカルタの旅行社から送られた観光客が顧客だった。


私がウブド滞在を初めた1990年以前の宿泊施設は、ホームステイが主流だった。

ここで言うホームステイは、家族と同じ家屋に泊まって寝食を共にするというのではなく、別棟を借りる民宿のようなものだ。

バリ人の生活習慣が身近で見られるのが、ホームステイの良いところ。

私が泊まったのは、カジェン通り1番地の「ロジャース・ホームステイ」。

rojas1.jpg

↓ 写真は、私が宿泊していた家屋。

当時とほとんど変わっていない(撮影:2013/12/25)。

今は、ロジャーのお父さんが使用している。

足腰の弱くなったお父さんのために、階段に竹の手すりが付いていた。

rojas2.jpg

ウブドを散策すると、門や塀に、小さな看板が掛かっている家を見つける。

ロスメン、ゲストハウス、アコモデーション、ハウス、イン、ペンッションなどとさまざまな名称をつけて観光客の目を引いている。

軒並みホームステイだ。

老朽化したホームステイが改築され、プール付き、ヴィラ風のホームステイも増えている。

ホームステイの第1号は、モンキーフォレスト通りにある小学校の横の道を入った「オカ・ワティ」だと言われている。


1990年に入って、バンガロー、コテージ、ヴィラ、ロッジなどといったミドルクラスの宿泊施設が建築されるようになった。

海外の旅行会社が中級ホテルと契約を交わして、一般観光客を送り込むようになったのもこの頃だ。

これまで滞在者のほとんどがホームステイを利用するバックパッカーだったが、この頃から旅行者の様変わりが始まったと言える。

毎日が暇だったので宿泊施設を調べたことがあるが、100件ほど調べたところで調査を止めた。

次からつぎへと増え続けるため断念した。

今では、300件以上あると思われる。

それと、「勝手に調査をすると逮捕されるよ」と人類学を研究している友人からアドバイスされたからだ。

当時は、政府の許可を得ないと調査をしてはいけなかった。

共産党クーデター(1965年)の残滓に、25年を経てもなお神経を配っていたのだろうか。

「居酒屋・影武者」が、漢字の看板を出していて叱責を受けた時代だ。

これは、単なる嫌がらせだったかもしれないが。


ホテル名に “リゾート” “スウィート” “ヴィラ” が加えられたり変名し始めたのは、いつの頃からだったろうか?

スパやエステサロンが観光客の目玉商品になると顧客確保にスパを併設し、名称にスパが加えられるようになった。

ウブド田舎暮らしの私には、これが世界的な傾向なのかどうかを知るすべがない。

これらのホテルの一泊は、現地の人なら2〜3ヶ月分の給料に匹敵し、私のひと月の収入と変わらない料金だ。

ubud-village.jpg

ホームステイから中級ホテル、そして五つ星ホテル、さらに高級ヴィラまでが混在するウブド。

『ウブドの未来は、いかに!』

リゾート地としての優位が、いつまで続くか、と危惧するのは私の思い過ごしだろうか?

posted by ito-san at 16:07| Comment(0) | TrackBack(0) | ウブド村徒然記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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