2泊4日のトリップも、いいいよ帰路。
復路は、来た時と反対の順路を辿る。
時間の経過は省きます。
場面は、コロンビア国境のミグラシオン。
ビザ獲得の正念場。
通行手形に、新たな滞在許可のスタンプをもらわなくてはならない。
理屈的には、2日間の出国で、2日間の滞在延長が可能なのだが。
果たして、それがコロンビアで通じるかが問題だ。
ジュンペイさんが、私のパスポートを係官に渡し、説明を始める。
「この男はスペイン語ができないので、私がかわってお話します」とでも言っているのか。
係官は、パソコンを見ながらが頷いている。
二言三言、会話を交わす。
時々、私の顔を見る。
感触は良好のようだ。
私の緊張が少しずつ解けていく。
スタンプが押された。
手にしたパスポートには、31の数字が。
31日間のビザが入手できた。
オタバロからエクアドル国境に向かうパンアメリカン・ハイウエーで、バス停の間違いから何台ものバスが通り過ぎて行くのを見送った。
3カ所目で、やっと正規の場所に辿りついた。
幸先の悪い嫌な予感がしていたが、崖っぷちから生還した心境だ。
これで、晴れて9月30日まで滞在できる。
ジュンペイさん、ありがとう。
イピアレスからアルメニアまでは、深夜バスに乗る。
発車時間まで、1時間30分ほどの余裕がある。
近くにある観光名所・サントゥアリオデ・ラス・ラハス(Santuario de Las Lajas)教会に、ひとりで行くことにした。
サントゥアリオデは、サンクチュアリ(中世、法律の力の及ばない、教会などの聖域)のことらしい。
乗り合いタクシーに、家族連れに混じって乗る。
教会までは、片道10分。
渓谷の崖に建つ可愛らしい教会だった。
教会見学に、思っていたより時間がとられた。
崖沿いの急坂から見える教会が美しく、魅入ってしまったのだ。
戻って来た時には、出発時間10分前。
ジュンペイさんが、ヤキモキして待っていた。
出発は30分遅れだった。
発車前、バス会社の人が乗り込んで来た。
私は、手元のノートにメモをしていた。
ジュンペイさんに「顔を上げて」と言われた。
見上げると、乗客を確認しているところだった。
バス会社の人は、小型ビデオカメラを右手に持っていた。
バスジャック対策のための撮影だ。
盗賊が現れるのは、真実なのだと身にしみて悟る。
身分証明IDカードが集められて、確認照合する場合もある。
そんな時には、時間がかかる。
外国人の場合は、パスポートの提示だけですむ。
何事もなく、アルメニアに戻れることを願う。
グッドラック!
〜完〜