2017年01月09日

都会化するウブド地域(109)

居候先の近くに、中級ホテルがオープンする。

中級といっても、安い部屋で一泊2万円、高いと7万円と聞いている。

そんな現状を見て思うことがあった。

バリ島のホテルラッシュは、私の想像を越えた勢いで進んでいる。

ご多分に漏れず、私の住むテガランタン村も中級ホテルがオープンし、ヴィラも増加している。

ホテルは、アクセスが良いか、景色が素晴らしければ辺鄙な村にも建つ。

「もうこれ以上、ホテルはいらない!」と、ホテル開発に批判するツーリストの声も多い。

土地代、借地料が値上がり、貸店舗や住宅の家賃も高くなってきている。

バリ島中が、金銭的に潤ってきているのは確かだ。

そして、貧富の差も著しくなってきた。

「バリ島は今、バブルだ」と表現し、2〜3年後にはバブルは弾けるだろうと予想する知人がいる。

私には、そうは思えない。

日本のバブルは、意図的に操作されたもの。

世界的に人気の観光地であるバリは、需要と供給の関係で起こっている景気で、まだまだ上向きだ。

頭打ちになることはあるだろうが、弾けるということない。


ホテルは、開業するためにスタッフを募集する。

バリには、従業員募集に特有の条件がある。

それは、スタッフをホテルが建つ村から村人を雇用するという、強制的な義務。

テガランタン村ではの30パーセント、スバリ村ではなんと40パーセントを現地雇いするという契約だ。

10年ほど前、契約を守らなくて、村人に嫌がらせを受けた高級ホテルがあった。

近日中にオープンするホテルのスタッフが決まれば、テガランタン村のほとんどの若者が就職することになるという。

直線で2キロに満たない地域に、150家族、およそ800人ほどが生活している。

高卒年齢以上の若者が何人いるか、わからないが、今後は雇用難となるらしい。

スバリ村では、すでに40パーセントの現地雇用は無理な状況となっている。


私がウブド滞在を始めた1990年のテガランタン村の北端は、畦道だった。

ホテルはもちろん宿泊施設もレストランもなかった。

最初に知り合った日本語ガイドのワヤン・カルタ君が、テガランタン村の出身だった。

その後知り合った先住者の日本人女性が紹介してくれた男性も、テガランタン村の若者たちだった。

私が居酒屋をオープンしたいと相談すると、その中のひとりで学校関係に務めるオカちゃんという青年を「この人は、真面目だから」と推薦してくれた。

オカちゃんは、物件を探しから地主との交渉と奔走してくれた。

そんな経路で、プンゴセカン村に「居酒屋・影武者」を作る時の大工は、全員テガランタン村の人だった。

毎日、30分かけて歩いて通って来た。

電気が敷設されていない村。

テガランタン村には、自給自足で生活する専業農家が多かった。

オカちゃんのような公務員は少ない。

ウブドにレストランを経営する人、バティック工場を持っている人もいるにはいたが、村内に仕事の口はなく、ほとんどがプータロー。

オカちゃんの弟アグン・ライ君は、ナイトマーケットで屋台を経営していた。

もうひとり弟アノム君は「男子専科のミスター・バリ」に努めていた。

「居酒屋・影武者」のオープンには、カルタ君の妹とオカちゃんの妹を雇うことにした。

どちらも美人で、お客様からの評判はよかった。

工事現場の下働きをしたのが、ナイトマーケットが閉鎖になってからプータローだったコップリン君。

ギャンブル好きの青年だ。

粗末な飯場に寝泊まりし、私が現場をのぞくと、道路沿いの小川の水でバリ・コピを淹れてくれる。

あまり衛生的とは思えないが、好意を素直に受けた。

コップリン君はその後、「影武者」の厨房に入る。

サテを焼く仕事は、天職だった。

闘鶏に狂って退職。

今は、弟のグン・バラット君が継いでいる。

その後、プータローを長く続けたコップリン君は、今回、新しくオープンしたホテルに駐車係の就職が決まった。

真面目に仕事をしようとしている。

27年も経てば、コップリン君も大人になるだ。


テガランタン村の電気の敷設は、90年代初頭。

電話の普及は、携帯からひとっ飛びにインターネット。

ホテルの廃棄物は分別されて業者が引き取り、下水も完備されているという。

雇用環境が整ったエリアを都会と呼ぶとすれば、ウブドはすでに都会だ。

ウブドに隣接する村々にも、都会化の波が押し寄せて来ている。

テガランタン村もそのひとつだろう。

以前、若者に「将来の何になりたい?」と聞いたことがある。

その頃に彼らに、具体的に想像できる仕事がなかった。

今は、様々な事業があることを知り、専門学校も開設されている。

今後、バリ人が起業するビジネスが増えることだろう。

そうなって、生活水準は上昇する。

バリ島が裕福になっていくのは良いのだが、私のようなお金を持っていない者には住みにくくなっていく。


posted by ito-san at 22:51| 愛知 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ウブド村帰郷記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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