スラバヤには観光名所が少ないようだ。
「ホテル・マジャパイト」のようなコロニアル・スタイルの建物も観光名所の一つだろうが、集客は期待できない。
集客が期待できるという意味では、名所No1は「The House of SAMPORNA=サンポルナの家」ではないだろうか。
「サンポルナ」は、1913年創業のインドネシアのタバコ会社。
歴史博物館と今なお操業しているタバコ工場が「サンポルナの家」。
ということで、サンポルナの家見学に出掛けました。
車は、旧市街の狭い道に入って行く。
港町で栄えたスラバヤの、かつて中心地だ。
港まで2キロほどの地域に、クラシックなたたずまいがある。
それが目的地・サンポルナの家だった。
ギリシャ建築に見られる列柱が並ぶ、正面のファサード。
4本の柱身がタバコの形を模している。
館内に入る正面扉のステンドグラスは、当時のもの。
扉を開けて、建物に入ると丁字の匂いが強くした。
ここは丁字タバコ、ジー・ザム・スー(DJI Sam SOE・234)の工場。
女性スタッフが、にこやかな顔で声を掛けて来た。
「ご案内いたしましょうか?」とでも言ったのだろう。
折角の好意だが、私のインドネシア語力ではきっと理解できないと思って丁重にお断りした。
もしかすると英語で言われたのかもしれない。
どちらにしても、理解できない。
昨夜の深酒がたたった二日酔いのA子さんは、ロビーの長椅子で休んでいる。
だから見学は、持ち前の感で理解していくしかない。
タバコを吸う男たちをモチーフにしたステンドグラス。
売店の中に入って記念写真。
作業風景は2階から見られるのだが、今日は大晦日で工場は休みだった。
ビデオを見ると、全員が女性。
彼女たちの手先は、ビデオの早送りのような素早さで動いている。
機械仕掛けのような正確さで、一時間に300本以上のタバコを手巻きしていくと言う。
☆
喫茶棟の前に止まっていたバス。
市内観光の「スラバヤ・ヘリティジ・ツアー」と呼ばれる無料バスが13時発で、正面玄関から出ている。
喫茶室でコーヒーブレイク。
喫煙コーナーがあるところは、さすがタバコ会社だけのことはある。
売店で、産地直売のジー・ザム・スーを一箱買った。
今は喫煙者ではないが、以前の私は、かなりのヘビースモーカーでショートピースを愛煙していた。
喫煙経験者にしか知らないことかもしれないので説明をしておく。
ショートピースはフィルターのついていない両切りタバコのこと。
ジー・ザム・スーも両切り。
バリ滞在しはじめた頃、両切りが懐かしく吹かした時期がある。
久しぶりに、ジー・ザム・スーを一服。
喫煙を再開しようかな、と思わせるほど美味しかった。
中国から渡った創業者は、この地で「タバコ王」なろうと誓ったそうだ。
建物のいたるところに「王」の文字が控えめに造作されている。
創業者の心意気が感じられる。
創業者の名前は「林」さん。
「林」という文字の装飾もある。
喫茶室の扉
喫茶室トイレへと外庭への扉
・・・・調子の戻ったA子さんが説明してくれた。
彼女の説明がなかったら、まったく気がつかずに帰ってしまっただろう。
気になってしかたがない模様。
この指差しの三つ巴模様に、何の意味があるのか?
林家の事情が隠されているのではないだろうか。
謎は解明されないまま、帰路につくことになった。
誰か「指差しの三つ巴模様」にお答えください。
ご存知の方は教えて〜!
次回、最終の「その六」は、番外編・写真集です。
ご期待ください。