まだ残っていた。
ガラクタをひっくり返したような、こんな店。
こんなの好きだな。
ウブド大通りからタマン村スリ・ウェダリ通りを、20メートルほど入った左手。
道路にまで、レンタル自転車がはみだしている。
観光案内の各種看板が掲げられているところをみると、観光案内所のようだ。
「アパ?情報センター」の商売がたきだ。
観光案内所には「Made Mako」の看板有り。
店舗のほうには「family sgop Wax's」とある。
店内には、壁一面に掛けられた絵画。
「ハヌマン・アートスペース」のイワン君と同じ匂いのする絵が置いてある。
(ハヌマン・アートスペースのオープン(67))
ギャラリーのように見えるが、雑貨も混じって足の踏み場もない。
「ユニークでしょう?」
後ろから声を掛けられた。
スリ・ウェダリ通りで、よく見かけるお兄ちゃんだ。
いつも欧米人ツーリストに話しかけている。
あれは、観光案内所の仕事だろう。
ガイドもやっているようだ。
彼の名前が「Made Mako」。
マコ? 女性ぽい名前だ。
風貌のワイルドさから、マコは想像できない。
自分の店をユニークだと思っている。
自分で「ユニーク」だと言う奴と、自分のことを「変わり者」だと言う奴は信用しないことにしている。
「昨日、チャンプアン橋の下の川から、この石を拾って来た」
道端に置いてある石彫は、彼の作品だ。
絵も彼の作品だと言う。
バイクのヘルメットにも、絵を描いている。
確かに、ユニークだ。
シラケルから、自分で評価するな。
「変わり者」のオーラを発するお兄ちゃんだった。