20年前、私が雇い入れたスタッフのひとりだ。
「ウブド・ヴィレッジ・ホテル」で働くお兄さんの紹介で来た。
当時20歳だった彼の第一印象は、突っ張った感じの青年だった。
私は、こういう生意気盛りの男が好きだ。
ウエーターとして、働いてもらった。
5年間の働きぶりを見て、新規開店する「ワルン・ビアビア」を任せたいと思った。
「友人がバリ料理専門の店を出すのだが、奥さんと一緒にやってくれないか?」
クトゥット君の奥さんは、日本人の味覚にあうバリ料理を作る。
「私は、影武者に世話になっているので止めたくない」
これが、彼の返事だった。
義理堅い男だ。
今では、影武者になくてはならない存在。
私をオヤジのように慕ってくれ、気にもかけてくれている。
私にとってもクトゥット君は、家族のひとり。
心配で、バンリの実家に見舞いに行った。
5、6年ぶりの訪問になる。
テラスで友人と話しているクトゥット君がいた。
外見からでは、まったく病人には見えない。
目を赤くして、病状を訴える。
原因不明の病気に、不安顔だった。
私には、病源を推し量ることはできない。
「早急に、確かな病院に行くように」
言葉を掛けて、その場をあとにした。
ウブドへの戻り道、滝を案内する野立て看板を沿道に見た。
3〜4年前から、ツーリストの間で滝巡りが人気だ。
「アパ?情報センター」の下働きとしては、気になるところ。
久しぶりの晴れ間、立ち寄ることにした。
ここは、バンリ県アプアン村のバングンルマ・カワン集落にあるティブマナの滝。
(Br.Bangunlemah Kawan, Desa Apuan, Kecamtan Susut, Kabupaten Bangli)
ウブドからだと、ギャニアール市に向かう途中、ビテラ(Bitera)の十字路を左折する。
一路、アプアン村に向かって北上する。
左右には、棚田と集落を繰り返す景色。
野立て看板が、右手に見える。
バングンルマ・カワン集落の入口だ。
100メートルほどの集落を抜けると、ティブマナの滝に続く農道に出る。
農道は、ダラム寺院前で行き止りになった。
ビテラの交差点からここまで、バイクで13分ほど。
ウブドから30〜40分。
ダラム寺院前にバイクを止めて、寺院横の細道を通って奥に進む。
料金所で入場料Rp10,000-を払い、滝に向かう。
5分ほど階段を降りると、ティブマナの滝の降り立った。
水量が少ないのは、晴の日が続いているからだろう。
上りは7分ほど。
たったの7分で、息が切れる。
来年70歳の誕生日(7月25日)に、アグン山に登る計画がある。
ここで私は考えた。
こんな体力では、登頂は無理だろう。
そして、私は決めた。(決断の早いのが私の取り柄)
足腰を鍛えるために、滝巡りをしようと。
こうして、私のバリ島滝巡りが始まる(予定)。
バリ島に、いくつの滝があるのか知らない。
渓谷の多いバリ島のこと、20ヶ所はくだらないだろうと想像できる。
いくつまで踏破できることやら。