その話は「レケレケ(LekeLeke)の滝 @Tabanan」「湖道沿いに、インスタ映えする造形物群」に書いた。
どちらも、雨にたたられて果たせなかった。
雨季も終わりに近づいた感のある3月20日、タンブリンガン湖訪問に3度目の挑戦。
なぜここまで、こだわるのか?
それは、数々の楽しい思い出があるからです。
カメラマンの渡部 赫(ガク)さんに連れられて訪れたのが最初。
記憶が曖昧だが、1995年だったと思う。
「行ってからのお楽しみ!」と赫さんは、目的地の詳細を明らかにしなかった。
道は下り坂になった。
赫さんの運転する車は、森に向かって続く悪路を直進する。
前方の森が、徐々に開けてきた。
小さく湖面が見える。
突然、目の前に全貌が現れた。
四方を丘に囲まれた小さな湖は、静寂に包まれ、美しい風景を作り出していた。
思いがけない景観に、同乗していた知人たちが感嘆の声をあげる。
湖畔に、ひっそりと佇むグブン寺院(Pura Gubung)の姿もいい。
赫(ガク)さん、とっておきを紹介してくれたのだ。
"バリ島「楽園紀行」(1996年3月25日・発行)"の取材も兼ねていた時期だった。
原生林トレッキング・コースがあるのを知って出かけたのが、1996年。
その時の話は「http://www.potomak.com/bali/ubud/vol-17.pdf極楽通信UBUD・Vol.17・原生林を訪ねて(黄昏野ラーダー) P12~13」に書いた。
当時の恋人と、グブン寺院のオダランに訪れたこともある。
1997年には、友人たちとカヤックをした。
「http://www.potomak.com/bali/ubud/vol-21.pdf極楽通信UBUD・Vol.21・カヤック(黄昏野ラーダーとあぶない探検隊) P12~13」
思い出深い、場所だ。
4年ほどまえから湖の水かさがあがり始め、グブン寺院と湖畔の村が水没したと聞いて、気になっていた。
原生林のトレッキングもできなくなったのか、それも確認したい。
インスタグラム・スポットに目もくれず、一路タンブリンガン湖に向かう。
愛バイクのホンダ・スクピーも各所点検済みで順調な走行。
滝巡りは帰路にしようと決めている。
タンブリンガン湖を左手に見ながら、外輪山の峰道を進む。
すばらく進むと、視界から湖が見えなくなる。
今回も湖畔行きの道が見つからない。
かなりの距離を走っているし、景色に記憶がない。
ムンドゥック村の表示がやたらに見えはじめる。
通り過ぎたということだ。
ムンドゥック村は、オランダ統治時代に高官の別荘があったところを聞いている。
山奥の村だが、今でも、避暑地として欧米人ツーリストに人気があり、宿泊施設も多い。
途中で見かけた、タンブリンガンの案内板が正しかったようだ。
引き返す途中にあるレストラン「Ngiring-Ngewadang=ンィリン・ンウエダン」で昼食をとる。
バリ語の丁寧語で「コーヒーを飲みましょう」という意味らしい。
末尾に動画を掲載したので、あとで見てください。
案内板の示す方角に進む。
道は、湖を右から回り込むようにしてあった。
進むうちに、思い出される風景が現れてきた。
このまま真っ直ぐに行けばいい。
タンブリンガン湖の湖面が見えた。
大勢の釣り人の姿が見える。
情報通り、グブン寺院は水没していた。
バイクを止めて、唖然と見つめる。

右にある湖面沿いの道は、森に続く。
以前、原生林トレッキング・コースの入り口があった方向だ。
バイクで森の中に向かう。
道が途中で水没している。
これ以上進めないものかと左右を見回すと、林の中にバイクの轍が見えた。
もう少し進んでみようと、林に入ってみた。
道は、落ち葉でぬかるんでいる。
私のバイクテクニックでは、これ以上進めない。
道端にバイクを止めて、歩くことにした。
カヌーを係留している小屋が見えた。
4人の婦人がたむろしている。
小屋は、ワルンかもしれない。
ワルンならコピ・バリが飲めるだろう。
タンブリンガン湖の訪問を果たしたことだし、ここらで小休止したい。
一番年かさの婦人に「コピ・バリある?」と聞いてみた。
4人の婦人が一斉に「あるよ!」と答えてくれた。
しかし、小屋を覗くと、そこは荷物置き場だった。
ここはワルンじゃない。
年かさの婦人が、グラスを取り出してコピ・バリの用意をしている。
「どこから来た?」「どこに住んでる?」「いつまでいる?」etc
久しぶりの質問攻撃。
話しているうち、婦人たちがトレッキングのツアー客の帰路をカヌーで迎えに行く要員なのを知った。
原生林のトレッキングは、村人の手によって存続していた。
カヌーで湖面遊覧30分:Rp200,000-(1〜4名まで)
ジャングルトレッキング+カヌー(2時間):Rp350,000-(1〜4名まで)
これに入村料:一グループRp100,000-がプラスされる。
コーヒー代を払おうとすると、受け取らなかった。
次回、トレッキングに来ることを約束して、小屋を後にした。
行き過ぎて見つけたレストラン「Ngiring-Ngewadang」