ギリマヌッの桟橋を離れたフェリーは、30分ほどで対岸の船着場クタパンに近づいた。
桟橋の順番待ちが30分。
接岸するまでの乗船時間は1時間になる。
フェリーのゲートが降りると、さっそくバイクで飛び出す。
ウブド長期滞在は旅の途中だが、久しぶりに旅人になった気分。
旅先にいても、さらに旅をしたくなる。
自称「生涯旅人」は、根無し草体質なのだろう。
表通りに出て、左手に進路をとる。
こちらは国道3号線。
右手は国道1号線で、遠くスラバヤに通じる。
「地球の歩きかた・インドネシア編」は持ってきていないが、何度も見てる。
バニュワンギの地図は、おぼろげに理解している。
「イジェン火口湖」のブルーファイアを見学に行くつもりで、調べたことがあった。
ムラピ山の西側に、1キロメートル幅のターコイズ色をした酸性の火口湖を持つイジェン山。
湖では硫黄採掘が行われている。
ナショナル・ジオグラフィック誌がイジェン山火口の鋼青色の炎を紹介したことにより、観光客が急増した。(wikipediaより)
サンライズ・トレッキングに含まれたツアーがある。
1時間半の登山コースは、バリのバトゥール山と同じレベルだと聞いた。
行けるものなら行ってみたいと思っていたが、一人では心細い。
思っていたほど良くなかったという情報もあったので、見学は80パーセントは諦めている。
宿は、インターネットではなく、行き当たりばったりで探す。
船着場の町・クタパンの街道沿いに宿があったが、町歩きが目的なのでバニュワンギ市内で泊まりたい。
バニワンギの中心部に行けば、宿はあるだろう。
10分ほどで、街に入った。
さすがに交通量が多い。
大きなマスジット(モスク)のある十字路を越えると、すぐ右手に小さなホテルが見えた。
「ホテル・バクティ=Hotel Bakti 」
バクティは、サンスクリット語。
インドネシア語のバクティは、誠実・奉仕などと訳されるが、バリ語では「お祈り」のことを表す。
「お祈り」の丁寧語は、ムスポ。
インドネシア語の「お祈り」は、スンバヤンと言っている。
バクティ・マニアの私にとっては、魅力的なネーミングだ。
名前に惹かれて、立ち寄った。
フロントの女性の対応は、素っ気なかった。
ウブドのホテル・スタッフのようなフレンドリーさを期待した私が間違いだった。
料金は、扇風機付きでRp125,000-。
シンガラジャのホテルよりRp5,000-高い。
新築なのだろう、真新しいホテルは清潔感で満たされていた。
即決。
昼12時前だったが、チェック・インすることができた。
チェックアウトは、昼12時と掲示してある。
フロントに女性に「町の地図は、置いてありませんか?」と訊くと、「スマホで見てください」と返事が返ってきた。
そりゃそうだ、今はネット社会。
グーグル・マップを見ればいいだよね。
残念なのは、その社会に着いていけない私がいること。
まずは、疲れを癒すためにベッドに横になる。
壁に取り付けられた扇風機が、左右に首を振る。
時折、ガクンと首が折れる音を立てる。
けだるく回る扇風機の風とガクンの音が眠気を誘う。
★続く