2019年02月08日

LOLOH BALI(バリの伝統療法)294

ウブドには、ホームステイを営む家が多い。

屋敷内にはバリの伝統に従って造られた幾つかの棟があり、その一部をツーリストに貸している。

宿泊すれば、ヒンドゥー・ダルモを信仰するバリ人の日常を垣間見ることができる。

彼ら信仰や慣習は、たいへん興味深いものがある。

そんな中の一つに、彼らの伝統療法がある。

私もホームステイしていた時に、しばしばお世話になった。

熱がある時に、大きな葉っぱをお腹に貼ってくれてことがあった。

お腹の調子が悪い時には、生薬を処方してくれた。

バリ人の屋敷は、どこも緑が庭に溢れている。

なにげなく植えられた草花には生薬も含まれていて、ちょっとした薬草園だ。

村人の多くが漢方医のようなもの。

もっとも薬草にたけているのが、バリヤンと呼ばれる人々。

葉っぱや根っこや実を潰したり絞って、飲み薬や塗り薬にする。

中でも、葉っぱから作られる生薬のことをバリ語でロロ(Loloh)と呼ぶ。

処方は、採りたてを絞ってジュースにして服用することが多い。

ジャムーと同じルーツだろうが、バリ特有の生薬に興味が惹かれる。

バリ独特のものとして商品化できないものだろうか、と考えた。


ご存知の人も多いと思うが、インドネシアには伝統療法の「ジャムー=JAMU」がある。

日本では、インドネシアの漢方のようなものと説明している。

古くから伝わるハーブ薬のことで、インドネシアに自生している植物の実や皮、葉、根、木の皮などを原料としている。

インドからヒンドゥー教が伝えられた時、インド古代医学のアーユルヴェーダもインドネシアに入ってきた。

アーユルヴェーダをヒントに、改良を重ねられて行き出来上がったものがジャムーだと言われている。

ルーツがアールヴェーダであることは、中部ジャワのボロブドゥール遺跡にも描かれているらしい。

これらの知識は、ネットで調べた。

インド(印度)からのルーツだとすれば、漢方と言わずに ”印方” が正しいのじゃないかと、へそ曲がりの私なんかは考えてしまう。

印方では、聞き間違いが起こる可能性があるか。

私のジャムー初体験は、ペットボトルを何本も背負って売り歩いているおばさんだった。

ペットボトルの中身は、乳白色に濁った液体ジャムー。

ジャムーが、不味いという情報は知っている。

『良薬口に苦し』だ。

体の調子はすこぶる良いが、好奇心がジャムーを求めた。

勇気を出して、私は、おばさんを呼び止めた。

おばさんは、道端の縁石に荷物を降ろして店開きを初めた。

ペットボトルから、ジャムーをコップに移し替え、私に手渡す。

「む〜ん、苦い!」

不調だったら、これもまずく感じないのかな?

とりあえず、バリ島入門の通過儀礼のひとつが終了した。

ボトルごと買うこともできる。

こういった行商以外に、店を構えているジャムー屋もある。

ジャムー屋には、工業生産で作られた商品を売っている。

生が一番だろうが、我々旅行者は、そうもいかない。

そこで、持って帰ることができる、乾燥ハーブとなった。

粉末やカプセルもあるが、個人的には、煎じて薬湯として啜ることをお勧めする。

ウブドの3つのスーパー(デルタ、ビンタン、ココ)に、ジャムー・コーナーがあるのに驚いた。

かなり以前から「Utama Spice」「Nadis Herbal」「Angelo Store」「Cantika Spa Zest」などのコスメ専門店でも販売しているらしい。

観光客が買っていくということだろう。

私が知らなかっただけだ。

loloh2.jpg

ロロを商品化するなら、ジャムーを知る必要があるだろう。

スーパーで売られているジャムーの全種類を買い込んだ。

ロゼラ、レモングラス、明日葉、シルサック、バタフライピーなどの葉、そしてマンゴスチンの皮などなど。

ハーブ茶と粉末の2種類が売られている。

売られているジャムーの中に、ロロの種類は少なかった。

loloh1.jpg

ハーブ茶は、煎じて飲んだ。

カビ臭い匂いと味がした。

粉末も、煎じて飲んでみた。

口内に粉末が残り不快だったので、濾過して試した。

お湯で溶くだけと聞いたので、そうしてみた。

ハーブ茶も粉末も、どちらも苦くてまずい。

私は、蜂蜜を入れて飲んでみた。

苦味は薄まるが、まずいのは変わら無い。

ジャムー屋では、ウズラのタマゴや蜂蜜などを混ぜて、症状に合わせて処方する。

全種類を飲み終えるには、何日も掛かった。

効能は、飲み続けないとはわからないだろう。

一発で効果が出たのは『Daun Jati Cina』。

「ダイエット、コレステロール値を下げる、便秘解消、体内脂肪を便として出す」と効能に書かれていた。

分量が多すぎたのだろう、一週間も続く下痢になった。

メタボの友人に『Daun Jati Cina』を、お土産に渡した。


ロロの生産は、栽培するところから始めなくてはならない。

それをハーブに、そして粉末にする。

ハーブ茶にしたり粉末にしては、効果は半減するだろう。

こんなに苦くてまずくては売れるとは思えない。

バリ人宅で、その場で薬草を処方してもらったほうが効果は期待できる。

そうだ、そうした方が良い。

そこで一考。

バリ人の信仰や慣習を体験する「アパ?情報センター」のプログラムに加えられないだろうか?

「バリ人宅を訪問してロロを飲む」

こんなツアーを企画しては、どうかと思うようになった。

こうして昨年からの懸案であった「ロロの商品化」は、努力の甲斐もなく挫折したのでありました。


◼︎補足:LOLOHの種類、私が聞いた限りでは以下でした。

『Daun Sirsak』 Sursak

『Daun Sambiloto』

『Daun Dapap』

『Daun Sembung』

『Daun Kayumanis』

『Daun Bluntas』

『Daun Dapap』

『Daun kelor』モリンガ

これ以上に、あると思います。



posted by ito-san at 15:41| Comment(0) | ウブド村帰郷記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする