2020年02月07日

懺悔の回顧録・ハシシ不法所持(342)

「懺悔の回顧録」に戻ります。

今回は、ちょっと重い話かも。


手作り仲間が、インドからベルトに仕込んで持ち帰ったハシシ(大麻樹脂)。

お土産として、軽い気持ちで彼女に渡したのだろう。

法に触れる物だという感覚が薄く、気安く受け取ったのだと思う。

こういうことに、彼女は疎かった。

さくらんぼ大の樹脂塊は、喫煙されないまま何日も、キャビネットの下段のテーブルに置かれていた。


知人が逮捕されたのは、知らされていない。

先に連行された知人たちとの交流も薄いため、事件をまったく知らなかった。

「人畜無害」にいた彼女が署に連行された。

その現場を私は見ていない。

私の家に、刑事が来た。

知人の名前を告げたあと、「大麻」という言葉が出た。

ハシシのある場所は、知っている。

妻が、連行されたのを告げられた。

警察は、主犯は年長の私ではないかと疑っていたようだ。

私を捕まえようとマークし、数日間尾行したと言う。

刑事が部屋に入ってくる。

現物がなければ、逮捕は免れるだろう。

物は、目の前にある。

どう隠そうかと思案した。

トイレに捨てるが、飲み込むか。

飲み込むには大きすぎる。

隠す暇もなく、証拠の物は見つかってしまった。

だらしないが、私は観念した。

刑事は、証拠物件を確保した。

喫煙形跡のない現物に、ガッカリしたようだ。

在庫で残っていたパイプセットにも、喫煙した形跡はない。

これで彼女は、ハシシの不法所持で逮捕されることになる。

刑事たちは、証拠の品を持って帰っていった。


数日後、地元名古屋のテレビ・ニュースと新聞で報道された。

名古屋発の大掛かりな大麻事件として扱われていた。

私の嫌疑が消え、彼女が最後の逮捕者となって終結したようだ。


名古屋近郊の所轄警察の留置場された。

面会はできなかった。

その後、何の伝達もなく、凶悪犯の多い中村署に送られた。

殺人犯の女性と同室だったと言う。

たらい回しにされて、面会もできない。

この経験から、私は、警察には絶対協力しないと誓った。

裁判中、身柄は名古屋拘置所に預けられる。

拘置所に面会に行った。

こんな威圧感と閉塞感のある建物に、何日も泊めるわけにはいかない。

1日も早く、出してあげなくては。

弁護士を手配するにも、私に知り合いはいない。

民事なのか刑事なのか、それもわからない。

民間人のトラブルは民事、犯罪行為は刑事だと知り、細い糸を手繰って刑事裁判の弁護士を探し当てた。

女性の弁護士は、親身になってくれているようには思えない。

現金を工面して、弁護士に手渡す。

裁判にも傍聴した。

2週間ほどの拘置で、身柄を引き取った。

もっと早く、弁護士と保釈金の対応が早かったら、2週間も拘置されることはなかったかもしれない。

自分の対応の甘さが悔やまれる。

彼女はやつれることなく、元気な姿に救われた。

親戚縁者に迷惑をかけただろうが、家族の誰からも非難は受けなかった。

1976年、これを機に「人畜無害」を閉店。


続く・


posted by ito-san at 15:14| Comment(0) | ウブド村帰郷記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする