コロナ禍の中でも、連日満席のレストランがある。
ギャニアール市郊外にあるバビグリンの店「Babiguring Pande Egi」は、その一つだ。
ここは、ローカル顧客のワルン(食堂)。
バビグリンは、豚(バビ)一頭を串挿しにして、グリングリン(転がす)して焼いた、バリの伝統料理のこと。
バリ人が大好物の、豚の丸焼き料理だ。
イスラム教徒は豚を食すことはご法度だが、キリスト教徒の多い中華系インドネシア人には問題無い。
島民とインドネシア他島からのイスラム教徒以外のローカル観光客で賑わっているという。
ウブドは、村人の多くが、少なからず観光産業に関わっていて、海外からの観光客が皆無の今、収入がなくて困惑している。
バリ人としては、とりあえずの現金収入の手段を考えないといけない。
贅沢品は見向きもしないだろうから、生活必需品か食品販売がいい。
様々なビジネスの中から、腹を満たす商いを考えた。
思いついたのが、ナシ・ジェンゴ(おやつ的、小ぶりのナシ・チャンプール)の販売。
露店が、沿道のあちこちに出現した。
バリ人の底力を見せつけられた思いだ。
もちろん、バビグリンの店も増えた。
そして、新しい形態の飲茶や巻きすしの屋台。
私は、ミニ・コンテナ・ショップと呼んでいる。
飲茶の屋台
巻きすし屋台
ローカル相手だからといって安泰ではない。
次から次へと新メニューの競合店が開店する。
観光客が皆無とはいえ、繁盛しているレストランもある。
タイ料理専門の店「Seed's Eatery」、アジア料理の店「Pison Ubud」、等々だ。
「Seed's Eatery」は、近くの人気店「タコ・カサ」「マンマ・ミーア」が苦戦しているこの時期に、「なぜ!」と思うほど繁盛している。
島民とインドネシア他島からの観光客以外に、コロナ禍で残留した国外からの長期滞在者が来店しているように思われる。
どんな方法で、集客率を高めているのだろうか?
私なりに考えてみた。
私の育った昭和時代の情報源は、広告宣伝だった。
小規模なものは、電信柱に貼られた広告。
銭湯などにも、広告はあった。
電車、バス、地下鉄などの移動手段の中の広告。
車窓から見える広告塔。
新聞に挟まれたチラシ広告は、全盛期だった。
新聞、週刊誌、月刊誌、専門誌などなどの印刷媒体での広告。
電波媒体では、テレビ、ラジオのCMがある。
あらゆるところに、広告はある。
日本は、インターネットの普及で、これらの広告宣伝媒体が消滅しつつあると聞く。
ウブドには、これらの広告宣伝媒体がない。
日本人観光客は、ガイドブックを頼りにすることが多いが、ブログやトリップ・アドバイザーも参考にした。
今は、ソーシャル・メディア(social media)の時代。
(英語圏では、ソーシャル・ネットワーキング・サービスの頭文字"SNS"の頭文字を用いていない、と言われる)
ソーシャル・メディア(単にソーシャルなどと呼ぶ)とは、インターネット上のコミュニティサイトのことで、口コミ・サイトと認識している。
フェイスブック、ツイッター、インスタグラム、ラインなどがある。
消費者の多くは、これらから情報を得ている。
繁盛店は、ソーシャルを利用して諸費者に情報を発信しているはず。
私も利用しているが、やっていればいいってもんじゃない。
どんな方法を駆使して集客率を高めているのかが、まったくわからない。
もちろん、美味しいメニューを提供しているのは最低条件だし、接客や価格の値打ち感などトータルに努力をしていることも間違いないだろう。
いくら考えても、錆びついた頭からは何も想像できない。
インターネット拒絶症候群の私には、頭が痛くなるだけだ。
商売をしていわけではないが、活用テクニックがわかれば、何かの役にたつだろう。
そう考えて、もう少し研究してみることにした。