今回の推薦本は、私がウブド滞在を始めて最初に手にした小説。
題名は「姫子・イン・バリ」。
著者は、有為(うい)エィンジェル。
中央公論社より、1987年12月発行。
私は1990年にウブド滞在を初めているので、想像できる時代の作品だと言える。
この小説が、誰から私に渡って来たかは、今となっては思い起こすことができない。
1990年当時、日本語の本と言えば旅人から手渡されたが物か、旅人がウブドに3〜4件あった古本屋に売っていった物しか手に入らなかった。
それ以外には、ビザの書き換えでシンガポールに出国した時に、紀伊国屋で購入して来た高価な本だ。
その数は、たかが知れている。
数少ない日本の本を、滞在者の間で貸し借りしていた。
滞在者数人の手を経て、私のところに回って来たのだろう。
写真の本は「和るん・あんかさ」の貸し出し本棚にあった物。
小説を推薦するのは初めてなので、読後感想をと思いましたが、そんな高尚なことは私にはできないので、内容を少し紹介することにした。
話は、ウブドが舞台。
あらすじはラブストリーだが、さらっとバリ文化が紹介されている。
失礼を承知で言えば、小説仕立てのガイドブックのようだ。
恋あり、笑いあり、ブラックマジックの話あり。
あのころ、こんなことがあったのだろうな、と想像できて楽しい。
ひょっとするとあの場所かな。
登場人物に似てるバリ人知ってる。
なんて考えながら読むと面白い。
ウブド人は年齢を尋ねない。
男同士で手を繋ぐ。
ジーと見つめる。
恋は時間なんで問題じゃない。
ウブドの宿には覗きのポイントがあった。
などなど、ウブド人気質のあるあるが随所に散りばめられている。
ウブドが今のように発展するのを、作者は見抜いていた。
文明化していくウブドに憂いを感じながら、受け入れねばならない。
どう受け入れるか。
今ウブドが直面している問題を、35年前に警告している。
リーゾート化した南部の街と違い、宗教・習慣・芸能を日々垣間見ることができるウブド。
ウブドらしく発展して欲しい。
まさに、そのことを危惧していた。
絶版のようです。
アマゾンにもない。
古本屋で探してみてください。
入手のハードルが高いかな。
読みたい人は、ウブドに来て借りてください。
「アパ?情報センター」のワヤン君に連絡いただければ、入手できるようにしておきます。
読んだことのある人も、もう一度読んでみることをお勧めします。
現地、ウブドで読むと、臨場感があって興味深く読むことができますよ!
『アパ?情報センター』
http://informationcenter-apa.com/
「極楽通信・UBUD」バリ関係・推薦本
http://informationcenter-apa.com/suisen_hon.html