家庭用の洗濯機と乾燥機を揃えたランドリー。
それまでは私も、自分で洗濯をしていた。
電気も満足に普及していなかった時代のこと、ホーム・ステイに洗濯機はない。
これといってすることのない毎日を送っていたので、洗濯は1日のルーチンのひとつであった。
洗濯は、水浴びとトイレを併設したマンディ場で、手もみ洗い。
Tシャツなどは手洗いでよいのだが、ジョーパンのような厚手の衣服はそうもいかないので、バリ式にタイルの床に広げてブラシでゴシゴシとしごく。
衣類が早く傷みそうそうだが、この洗い方は楽だ。
小1時間かけて洗濯を終え、マンディを済まし、テラスでコピバリを飲んでいると昼になっている。
バリ人はというと、川での洗濯が主流だった。
川はマンディ場でもあるので、洗濯を終えると、マンディを済ます。
ウブドの川は、田んぼの水をたっぷり含んだ土色に濁っている。
黄ばんだシャツを着ているバリ人が多いのは、川で洗濯をしているからだろう。
洗い終えた洗濯物は、生け垣にや芝生の上に広げて干す。
バリ人は、洗濯物を不浄な物と考えて、下をくぐることを嫌う。
そんなことからか、物干し竿やロープなどのように下をくぐれる干し方を作らない。
ホーム・ステイなどに泊まっていて、煩わしいバリ人の訪問をシャットアウトするなら、テラスいっぱいにロープを張って洗濯物を干しておけばよい。
洗濯物を畳むときは、虫が入っていることがあるので、まず、はたいてからしているようだ。
私は、Tシャツに大量のアリが入っていたことがあって、困った経験がある。

ホテルでさえも手洗いで芝生で干していた時代。
ランドリー・サービスをお願いすると、なんと真っ白なブラウスが見事に黄ばんで返ってくる。
川で洗濯をしているホテル・スタッフの姿を目撃したことがある。
長期滞在だと、日本から持ってきた白い衣服はことごとく黄ばみ、シミも目立つようになる。
私が黒のTシャツを好んで着る理由は、ここにある。
極楽通信・UBUD 27「ウブド洗濯事情」
https://informationcenter-apa.com/gt_cleaning.html