2013年07月17日

バンリのサイババ崇拝・弐(15)

「バンリのサイババ崇拝・壱(14)」からの続きです。

やっと本題に入ります。

ワヤン・スタモ君が、私の世話になっているパチュン家まで、車で迎えに来てくれた。

私は、バリの寺院に参拝する時の正装に身を包んで待っていた。

あいにく家族の姿が見えなく、ワヤン君は挨拶することができなかった。



今日の訪問目的は、ワヤン君夫妻が開設した「瞑想センター」の見学だ。

奥さんのイブ・アユ・ラクシュミには、アパ?情報センター「バリヤン体験・ツアー」の「スピリチュアル・ヒーリング」で世話になっている。

人気のツアーなので、一度、ロケーションを見ておこうと招待を受けることにした。

招待された住居は、新興住宅地の内にあった。

瞑想センター内に入る前に、履物を脱ぎ裸足になる。

15年の歳月の間に、神聖な寺院といった趣の住宅と立派な瞑想センターが完成していた。

文章でうまく描写することができないので、写真を添付することにする。

agni-hotra1.jpg

アパ?の「スピリチュアル・ヒーリング」は平日に行われている。

毎週日曜日には信奉者が集まって瞑想の日になる。

それを「アグリ・ホトラ=Agni Hotra」と呼ぶらしい。

私が訪れた日は、瞑想の日になっている日曜日だった。

見学だけで帰る予定でいたが、その場の雰囲気に流されるようにして、参加することになった。

老若の信奉者が男女左右に分かれて、小さな座布団に腰を降ろした。

私は、信奉者の一番うしろに席を取った。

午後5時過ぎ、イブ・アユ・ラクシュミが登場すると「アグリ・ホトラ」儀礼が始まった。

グル・ラクシュミが、右手に持った鈴を激しく鳴らした。

霊媒師を想像させる仕草だ。

マントラを唱える大きな声が、左手に持つマイクを通して聞こえる。

呪文のようにマントラを繰り返す。

マントラを唱えると、サイババからお告げが降りてくるという。

宗教に興味がない私は、こういう場所が苦手だ。

「えらいところへ来てしまった」と動揺する。

辞退した気持ちはいっぱいだが、今日はワヤン君の送迎つきなので、途中で帰るわけにはいかない。

最後まで見届けてやろうという、中途半端な好奇心もわいてきている。

agni-hotra2.jpg

グル・ラクシュミが誕生日の歌を唄う。

私の知っている通俗的な歌だった。

信奉者の子供の誕生日儀礼のようだ。

ケーキの上のロウソクが1本のところをみると、1歳の誕生日なのだろう。

グル・ラクシュミに相談をしてから、子供が授かった夫妻の長男だという話。

聖水の振りかけて、誕生日の儀礼は終わったようだ。



遅れて来た信奉者が、私のうしろに座る。

60人ほどが集まっていた。

多い日には150人ほどになると、ワヤン君があとで教えてくれた。

agni-hotra3.jpg

信奉者のひとりがマイクを手にして、マントラを唱える。

鳴りものが入る。

参加している全員が手拍子を打ち、マントラの合唱を始めた。

全員がマントラを唄うことができるようだ。

私の耳に聞き分けられるのは「オーム」と「シャンティ・シャンティ」だけだ。

歌詞がわからない私には、霊歌のようでもあり、祈りのようにも見える。

お金を聖火に投じて燃やす場面もある。

聖火信仰=護摩(ホーマ)祈祷のひとつなのだろうか。

疑問ばかりが浮かぶ。

サイババを骨格にしたヒンドゥー教のようなものであり、その亜流の新興宗教にも見える。

奇妙な歌は、続けられる。

しかし、ある種の厳粛さを醸し出している。

隣のうら若き女性は、涙を流していた。

ヴィプーティ(聖灰)を頂き、こめかみに付ける。

儀礼は、8時過ぎに終了した。

信奉者たちは皆、高揚感と浄化された清々しさとがないまぜになった顔をしている。

グル・ラクシュミは、3時間、唄いっぱなしであった。

agni-hotra4.jpg

信奉者が一列に並び、順にサティア・サイババの写真が飾られた祭壇のある部屋に入りお祈りをする。

最後に、私は部屋に招き入れられた。

ワヤン君とともにお祈りをする。

聖盃から滲み出て来ると教えられた「アムリタ(聖なる蜜)」を頂いた。

ヴィプーティは、祭壇裏に飾られた額縁のガラスに自然に浮き出てくらしい。

摩訶不思議なものを見せてもらった。



興味ある体験ではあるが、疑問は残る。

訪問する前は「アグリ・ホトラ」儀礼ツアーを考えていたが、果たして、日本人はこういうものを好むのか、心配になってきた。

ワヤン君夫妻が主宰なので応援したいのだが、どうしても違和感は拭えなかった。


posted by ito-san at 17:16| Comment(0) | TrackBack(0) | ウブド村徒然記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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