2014年10月14日

パチュン家昼下がりの一幕(88)

10月10日(金)

久しぶりにパチュン家の出来事です。

雨季が近づいて来たかも、と感じるような爽やかな風がテラスに吹き抜ける昼下がり。

私は、テラスで読書に夢中。


「ウラール(=ular・へび)!」

イブの大きな声が聞こえた。

庭に顔を向けると「イトウ、イトウ!!」と、イブが私を呼んでいる。

私に、へびを追い払ってもらうつもりなのだろう。

慌てぶりをみると、相当デカイへびに違いない。

イブの助けを拒むことはできない。

私がへびを苦手にしていることをイブは知らない。

パチュン家でへびを見るのは、滞在して始めてだ。

カメラを手にして庭におりた。


洗濯干スペースの芝の上を示して「ここに大きなへびがいた」と興奮気味。

今は、姿が見えない。

このくらいの太さだったと、自分の手首を示す。

それなら大蛇ではない。

黒っぽい色だと言うから毒蛇でもないだろう。

渓谷に戻って行ったにしては、姿を消すのが早過ぎる。

まだ、近くにいるはずだ。

次男コマンがこん棒を手に現れた。

自然児コマンがいれば、私の出る幕もないだろう。

しかしその考えは甘かった。

コマンは、小さなへびでも大騒ぎをするほどのへび嫌いだった。

身体をこわばらせて近寄ってもこない。

こん棒は、イブに渡された。

イブと私は、あたりを探し始める。

不吉な予感、もしかしてヒロさんの部屋に入ったのでは。

イブとコマンが部屋に入っていった。

zaimoku1.jpg

私は、引けた腰で塀沿いを見て行く。

今日は陽射しが暑い。

涼場を求めて這い出して来たと思われる、へびの行方を考える。

雑然と置かれた材木の間は、どうだろう。

絶好の隠れ場所と思われた。

腰を落として、一番下を覗いた。

薄暗くて、よく見えない。

棒で突ついてみた。

へびの鎌首が持ち上がった。

やはりここにいたのだ。

zaimoku2.jpg

へびは写っていません。


「いたいた!」私はイブとコマンに聞こえるように叫んだ。

追い出そうと、棒で激しく突く。

鎌首は、私の反対方向に逃げようとしている。

イブは、こん棒を構えて待ち伏せている。

腰は引けているが、殴り殺す勢いだ。

私は上体を少し隙間に入れ、棒をさらに深く入れようとした。

その時、眼の前で何かが動いた。

板の間でウネルものが・・・・。

思わず後ずさった。

2メートルほど先のへびを追い払っているつもりで、果敢に戦っていた。

まさかこんな近くに。

冷や汗が出た。

2匹いるのでは。

手前のへびは太かったゾ。

私は怖いのを我慢して材木を少しずつずらしていく。

遭遇するのが怖くて、腰が前より引けている。

愛猫チビタが応援に駆けつけて、私の近くを右往左往している。

心強い見方は、いざへびが出て来たらどう対処するのだろう。

見てみたい気もする。


いっこうに、へびの姿は見えない。

すでに、谷底へ姿を消したのかもしれない。

深追いするのはやめよう。

今夜、へび地獄に落ちる夢を見そう。

へび地獄って、幾重にも重なるようにへびがウゴメイている穴なんです。

怖いんですよ。


翌朝起きると、パチュン君が材木を整理していた。

塀の向こうに、黒へびが姿を消すのを私は確認した。

posted by ito-san at 15:38| Comment(2) | TrackBack(0) | テガランタン村滞在記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
皆さんでドタバタ大騒ぎ。恐いけど楽しそう。これもいいですね。私もそこに居たかった!
Posted by mirumama at 2014年10月15日 21:34
mirumamaさん

そう、バリって、そんな日常が楽しいです。
Posted by ito-san at 2014年10月16日 15:47
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