10月10日(金)
久しぶりにパチュン家の出来事です。
雨季が近づいて来たかも、と感じるような爽やかな風がテラスに吹き抜ける昼下がり。
私は、テラスで読書に夢中。
「ウラール(=ular・へび)!」
イブの大きな声が聞こえた。
庭に顔を向けると「イトウ、イトウ!!」と、イブが私を呼んでいる。
私に、へびを追い払ってもらうつもりなのだろう。
慌てぶりをみると、相当デカイへびに違いない。
イブの助けを拒むことはできない。
私がへびを苦手にしていることをイブは知らない。
パチュン家でへびを見るのは、滞在して始めてだ。
カメラを手にして庭におりた。
洗濯干スペースの芝の上を示して「ここに大きなへびがいた」と興奮気味。
今は、姿が見えない。
このくらいの太さだったと、自分の手首を示す。
それなら大蛇ではない。
黒っぽい色だと言うから毒蛇でもないだろう。
渓谷に戻って行ったにしては、姿を消すのが早過ぎる。
まだ、近くにいるはずだ。
次男コマンがこん棒を手に現れた。
自然児コマンがいれば、私の出る幕もないだろう。
しかしその考えは甘かった。
コマンは、小さなへびでも大騒ぎをするほどのへび嫌いだった。
身体をこわばらせて近寄ってもこない。
こん棒は、イブに渡された。
イブと私は、あたりを探し始める。
不吉な予感、もしかしてヒロさんの部屋に入ったのでは。
イブとコマンが部屋に入っていった。
私は、引けた腰で塀沿いを見て行く。
今日は陽射しが暑い。
涼場を求めて這い出して来たと思われる、へびの行方を考える。
雑然と置かれた材木の間は、どうだろう。
絶好の隠れ場所と思われた。
腰を落として、一番下を覗いた。
薄暗くて、よく見えない。
棒で突ついてみた。
へびの鎌首が持ち上がった。
やはりここにいたのだ。
へびは写っていません。
「いたいた!」私はイブとコマンに聞こえるように叫んだ。
追い出そうと、棒で激しく突く。
鎌首は、私の反対方向に逃げようとしている。
イブは、こん棒を構えて待ち伏せている。
腰は引けているが、殴り殺す勢いだ。
私は上体を少し隙間に入れ、棒をさらに深く入れようとした。
その時、眼の前で何かが動いた。
板の間でウネルものが・・・・。
思わず後ずさった。
2メートルほど先のへびを追い払っているつもりで、果敢に戦っていた。
まさかこんな近くに。
冷や汗が出た。
2匹いるのでは。
手前のへびは太かったゾ。
私は怖いのを我慢して材木を少しずつずらしていく。
遭遇するのが怖くて、腰が前より引けている。
愛猫チビタが応援に駆けつけて、私の近くを右往左往している。
心強い見方は、いざへびが出て来たらどう対処するのだろう。
見てみたい気もする。
いっこうに、へびの姿は見えない。
すでに、谷底へ姿を消したのかもしれない。
深追いするのはやめよう。
今夜、へび地獄に落ちる夢を見そう。
へび地獄って、幾重にも重なるようにへびがウゴメイている穴なんです。
怖いんですよ。
翌朝起きると、パチュン君が材木を整理していた。
塀の向こうに、黒へびが姿を消すのを私は確認した。
2014年10月14日
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そう、バリって、そんな日常が楽しいです。