白い雲が空一面を覆い、青空を遮っている。
陽射しは柔らかく、過ごしやすい。
気温が高く生温い風が吹くと、雨が降ると予告する。
2日に1回は雨が降るようになった。
スコールと呼ぶには弱い雨だ。
毎日、雨が降るようになり、降雨時間も長くなる。
雨の合間に、晴れ間が見える。
こうして雨季は、徐々にやってくる。
早朝の4時。
雷の音で目が覚めた。
近くに落ちたような凄まじい音だ。
スコールの音も聴こえる。
ゴロゴロ・ガラガラ・バッシャン。
バリバリと雷の音が、何度も響いた。
先週からパチュン家では、ムラジャン(家寺)の祠の屋根の葺き替えが始まった。
15年ぶりの葺き替えらしい。
祠は、プリンゲー(=Palinggih、ローマ字表記がはっきりしない)と呼ばれている。
バリの寺院には、必ずいくつかのプリンゲーがある。
プリンゲーは椅子の意味で、神が降臨する祠のことを指す。
神々が降臨する12月17日のガルンガン祭礼日前には終わらせたいようだ。
9月18日:パチュン家ムラジャンのオダラン。修繕前の祠が見える。
今回の素材は20年間は耐えられると、パチュン君は言う。
屋根に使われるのは、ジャコー椰子(シュロ椰子)の幹を包む黒い樹毛。
年々、バリ島のジャコー椰子が減り、樹毛が入手困難となり、ジャワ島から仕入れられているそうだ。
運ばれて来た樹毛は、すでに掃除され選別された状態だった。
材料がなくなれば、屋根の素材も変っていくだろう。
家寺が地上から一階二階の屋上に設置されたように、焼き物の瓦や新建材の屋根になるのか。
地中とは、土を詰めたパイプで繋がっているから良しとする屋上の家寺。
地霊も苦笑いしていることだろう。
屋根葺きの構造には、それなりに理由がだろう。
私の語学力では理解できないだろうと、聞くことをあきらめている。
カット作業は大変に見える。
専門のノミでカットする。
ヒゲは、魚の小骨ほどの固さで簡単には折れなかった。
ノミのような道具は、バリ語でKAPATと言うらしい。
ちなみに、ノミは、パハット(pahat)。
仕上げのブラシかけ。
近づいている雨季を心配したが、葺き替え作業は2日間で終了した。
あとは、パチュン君が自ら着色する。
器用なパチュン君は、なんでもこなす働き者だ。
「12月6日の満月の日には間に合わせるんだ」と意気込んでいる。
ムラジャンから、調しっぱずれの口笛が聴こえる。
インドネシアで人気の日本の歌、五輪真弓の「こころの友」だ。
奥さんのマデは、ギターを弾き日本語で唄うことができる。
日本人のお客様が訪れると披露することもある。
仲の良い夫婦だ。
※後日談
パチュン君の着色作業も滞りなく終わり、12月6日はプマンクによる儀礼が行われた。
2014年12月02日
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あなたが大嫌いです。