12月25日:
朝から、曇り、時々雨、時々晴。
スコール・雷鳴を揃えて、南国の天気総出演だ。
この頃、雨模様が続いている。
今日は、晴れ間を見つけて遠出をした。
行き先は、タンパクシリン村。
遠出といっても、バイクで30分ほど山側に走れば着く。
晴れ間は長く続かず、黒い雲が空を覆った。
先日、知人からもらったバリ島の古い写真の一枚に、私の興味を引くものがあった。
「ティルタ・ウンプル・寺院=Pura Tirta Empul」の全景写真だ。
寺院向こうの丘に、あるはずのイスタナ(大統領の別荘)がない。
この写真の時代には、建っていなかったことになる。
時代は、インドネシアの独立前なのかもしれない。
樹木が少ないのも、気になる風景だ。
「ティルタ・ウンプル」には、こんな伝説がある。
それは10世紀頃、バリに栄えたワルマデワ王国時代の神話。
マヤ・ダナワ王の悪政に苦しむ民を救うために、神々はインドラ神を地上につかわせた。
インドラ神とマヤ・ダナワ王の戦いは激しく続いた。
山奥に逃れたマヤ・ダナワ王は、毒を含んだ水の出る泉を造った。
王を追跡した兵隊たちは喉が乾き、泉の水を飲む。
兵は、苦しみもがき死んでいく。
この時、インドラ神は丘の上で休息していた。
急いで丘を下り、地上に剣(keris=クリス)を突き刺した。
そこからは、兵隊たちを生き返らせるための薬効の泉が湧きだした。
薬効の泉の水を飲んだ兵隊たちは、みるみるうちに息を吹き返していった。
そして、マヤ・ダナワ王を成敗した。
この泉を「ティルタ・ウンプル=聖なる泉」と名付けたと伝えられている。
(この話の詳細は「プクリサン川の神話(pekerisan)」で読んでください)
全景写真は、インドラ神が休憩していた丘から見た景色だ。
丘には、現在、プグリンガン寺院(Pura Pegulingan)が建っている。
寺院内に、ボロブドゥールと同時代と考えられる8世紀の遺跡が残っていて、近年ストゥーパが再建された。
インドラ神は、石積みのストゥーバの横で休んでいたのだろう。
私もそこで、横になり、同じ景色を見ようと出掛けたのだ。
晴れ間は長く続かなかった。
丘に到着する頃には、黒い雲が空を覆った。
残念なことに、写真の景色は鬱蒼とした木々に遮られて見られなかった。
寺院のまわりをしばらく徘徊。
灌漑用水は、湧き水を利用したと思われるほど透明な水が流れていた。
水の流れを聴き、心地よい風が通り過ぎる丘は、しばし頭脳に休息を与えてくれる。
帰路は、小雨に降られた。
※ユネスコの世界遺産《バリ島の水利組合システム「スバック」》ひとつに「 プクリサン川流域 」が含まれ「ティルタ・ウンプル・寺院」「プグリンガン寺院」も入っている。
2014年12月28日
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