街にゴミが落ちていないことだ。
きっと日本中どこに行っても、このように清掃が行き届いているのだろうが。
バリ・ウブドから来ると、このギャップには驚かされる。
これは、ウブド人と日本人のモラルの違いだろう。
ウブドは今、世界有数の観光地として人気が高まっている。
私が滞在し始めた1990年のウブドは、バックパッカーの訪れる物質文明からほど遠い山あいの村だった。
道ばたにプラスチック袋の破片が落ちていることはあるが、ゴミらしいゴミは見かけなかった。
(何を指してゴミと言うか? という話はパス)
その頃、私がゴミと認識した物は、落下した椰子の実や椰子の葉で作られた供物ぐらい。
枯木や古材や朽ちた竹は台所の薪に使用され、生ゴミは家畜の餌になっていた。
果物を食べたあとのクズは、庭にポイ捨て。
ゴミ箱は、用意されていない。
これは、一日に数回する掃除の時に、用済みの供物と一緒に集められ裏庭や川に放棄される。
なんでも自然に戻るんだと思い込んでいるウブド人は、ところ構わずポイ捨てにする傾向がある。
土に戻る素材がほとんどだった時代のことだ。
その後数年して、ツーリストが捨てる飲料水のペットボトルが目立つようになった。
川にプカプカと浮かぶペットボトル。
気になった私は1904年4月、ウブドの自然を守るために「ウブドの環境を考える会」を作ってみた。
「ゴミをつくらない・ゴミは分別して出す」という、小さくて大切なことから始めることにした。
まずは、ペットボトルから。
アクア君Tシャツを作ったのは、この時。
デザインは、漫画家になる前の深谷陽さん。
ウブドに、土に帰らないプラスチック素材が増えてきた。
観光客も倍増し、地元の人々の生活も文明化され、毎日大量のゴミが出る。
これまでの習慣からポイ捨てをするウブド人。
プラスチックゴミは、川を詰まらせ洪水の原因となっている。
土に戻らないプラスチックゴミに、彼らは危機感を持たないのか。
ウブドのゴミ事情を考えると、将来が不安になった。
少しずつでもいいから、何かを始めなくては。
そんな気持ちから、2009年2月より始まったウブド在住の有志による「廃品(リサイクルできるゴミ)回収」に取り組んだ。
それが、ウブドのエコを考える「ウブド・エコ・プロジェクト=Ubud Eco Project 」だった。
バリ・ウブドの環境を少しでもよくしていこう。
しかし、私の力不足で貫徹できていない。
ウブド人も危機感を持ち始めてきた。
環境問題は今、ウブド人主導で動き始めている。
◇
そして豊田市。
道路にゴミ箱が設置されていない。
それでもゴミが見えない。
立ち喰い立ち飲みで発生したゴミはどうしているのだろ?
そういう振る舞いはしないのか。
したとしても、ゴミは持ち帰っているのか。
きっとそうなのだろう。
分別ゴミは徹底され、回収日も決まっているのは、全ての日本人が知っている。
この地球が、美しく健やかな星に戻れますように。
それが皆の願いだ。