そう簡単に、作れる物ではない。
紙は完成したものの、紙だけではランプにならない。
ランプの形態にする素材が必要となる。
ウブドでは、流木や竹、木の枝などを利用してランプを作ってきた。
時には、椰子の花房や落ちている大樹の枝も使った。
拾った物を組み合わせて作る、偶然の産物のような作品である。
台座は、製材屋で端材をを安く分けてもらっていた。
流木でミニチュアの椅子やテーブル、額縁などを作り、アルマ美術館正面玄関の横にあった「ブンブン・カフェ」で販売していた。
遠い過去の話だ。
ここはサレント・南米コロンビア。
手始めに、流木を拾いに行くことにした。
流木と言えは海だが、サレントは標高1,895メートルの山の中、海は遥か遠い。
ウブドでは、バイクで30分ほどで海に行けた。
丘を下り切り川沿いの平地に出ると、自治団体事務所の建物がある。
ここまで、ゆっくり歩いて約40分ほど。
平地はすべて牧場。
ここからさらに奥に行くと、ココラ渓谷に行ける。
多くの観光客が訪れる場所だ。
自治団体事務所を過ぎ、牧場の手前、左手に道が続いている。
左右はやっぱり牧場だ。
200メートルほど先に、赤い橋が見える。
流木拾いの目的地は、この橋のたもとだ。
果たして、素材は落ちているのか?
ウブド生活と同じことをしている自分に、笑えた。
※ウブド村徒然記「流木を拾いに(1)」
川原は、岩ばかり。
簡単に拾えると思ったが、川べりに流れ着いた流木を拾うというわけにはいかない。
岩に引っ掛かっている、流木を拾う。
簡単に、好みの形の流木は見つからない。
もう少し奥に行きたいが、川辺沿いに進んでいくには難しい。
私は、牧場の柵を越えることにした。
柵には、有刺鉄線が張られている。
くぐったり、飛び越えたりしながら、奥へ進んでいく。
小石の多い川辺が見えた。
鉄条網に手が触れた瞬間。
ビリビリッ!
電流が走った。
牧場の柵越えで死ぬのは、みっともない。
クワバラクワバラ。
弱電で死ぬことはないだろうが、不法侵入で捕まるのは不甲斐ない。
浅瀬の岩場、水の中を急いで進み、橋のたもとに戻った。
気を鎮めるために、大きな岩の上に腰をおろした。
自然に包まれながら、何事もなかったように青空を仰いでみた。
川の流れが、心地よい風を運んで来た。
せせらぎの音を聴きながら、最近、手に入れたサンポーニャ(zampo?a)をリュックから取り出して、吹いてみる。
※サンポーニャは、南米アンデス地方の民族音楽フォルクローレに使われる笛の一種。
収穫は少なかったが、往復1時間30分(帰路は上りで50分)の散歩は、運動不足解消に最適な距離。
心地よい汗がTシャツを滲ませている。
週に一度くらい、晴れた日には川原で戯れることにしよう。