バリでは、水浴びすることをマンディ(Mandi)と言っている。
海や川に浸かることもマンディと呼ぶ。
本来は沐浴を意味する言葉で、お祈り前に川や湧き水で沐浴した習慣だ。
日々のお祈りは、朝夕の2回ある。
現代になって、各家に水浴び用のマンディ場が作られるようになった。
水槽からヒシャクで水をすくってかぶる。
私がウブドを訪れた1990年のホームステイは、そんな感じだった。
ヒシャクがココナツの殻だった時代だ。
その後、宿泊施設にはホットシャワーが備わるようになった。
シャワーを浴びることもマンディ。
バスタブ設備のある宿も増えてきた。
バスタブに浸かることもマンディ。
私のテガランタン村生活は、ホットシャワーから格上げしてバスタブの湯に浸かっていた。
風呂好きな私の身体は、暑い日でも温水を欲する。
サレントに滞在して何が不満だったか? と問われれば「シャワーだ!」と即答するだろう。
ジュンペイさんの家には、お湯がチョロチョロとしか出ない湯沸かし器の付いたシャワー室があった。
パイプの先に、小さな電気湯沸かし器が付いている。
普及型沸かし器なのだろう、何カ所かで見た。
小さいので、お湯の出も悪い。
沸かし器のない家が多いらしいから、ないよりはましだった。
コロンビア人は奇麗好きだから毎朝水浴びをする、とジュンペイさんは言う。
夜より朝の水浴びを重視するらしい。
他人を不愉快にしない心遣いだろう。
「寝覚めの水浴びは、気持ちいいよ」とジュンペイさん。
私の場合、基本的には昼間の汗を流すため、そして夜をノンビリ過ごすために夕方に入浴したい。
他人にどう思われるかの前に、自分が快適になりたいという、自己中心の考えだ。
ウブドに居る時は、汗をかけば、朝、昼、夜とマンディすることもあった。
儀礼に参加する前には、必ず身を浄めていた。
奇麗好きだから朝水浴びをするという意見には納得できないが、「郷に入れば郷に従え」のことわざどおり、私も従ってみた。
が・・・・。
朝は気温も低く、チョロチョロ湯では身体が温まらない。
冷たい水でも、浴びれば気持ちいいもの。
それはわかっている。
「慣れるから」と言われても、己の身体が心配だ。
湯沸かし器の存在しなかった(私の目の前には)ウブドでは、慣れるしか仕方がなかった。
軟弱になった老体で、今更、慣れなくてもいいだろう。
従わなくても良い文化もあると思う。
いつの間にか、シャワーを浴びる回数が減っていた。
5ヶ月近く滞在することになったピノさん家のシャワーには、湯沸かし器がついていなかった。
お湯に慣れきった私の身体に、水シャワーは酷と言うものだ。
おまけにシャワーじゃなくて、水はパイプからドドドと落ちてくる。
バリの沐浴場にある、湧き水をパイプに受けて流しているパンチョランと同じだ。
これはシャワーとは言わない。
コロンビアの一般家庭では、こんな風なんだと想像してみた。
ピノさん家に移ってからは、裏庭のオープンエアーで、お湯浴びをしている。
太陽の陽射しが強い、2〜3時頃が最適だ。
半畳ちょっとの狭いシャワー室では立ったまま洗うので、どうしても中途半端な洗浄になってしまう。
私にとっては、腰を落ち着けてジックリ洗うのが正統派マンディ。
バスタブにナミナミとお湯を張って入浴した〜い。
お湯浴びの回数は、5日に一度のローテーションになっていた。
「汚〜い!」と叫んだのは、誰ですか?
2015年09月16日
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