2017年07月31日

古希記念・アグン山登頂(144)

アグン山登山のテンションがおさまり、疲れもやっと癒された。

心穏やかになるのに、一週間もかかった。

登頂の模様を、冷静に振り返る余裕がよみがえってきた。

そろそろブログを仕上げるとしようか。


7月25日は、私の70歳の誕生日。

それがどうした、というわけでもないが。

70歳は、古希と言うらしい。

こんな言葉があるくらいだから、ちょと貴重な誕生日じゃないかい。

そんなことで、記念行事的なことをしようという気になった。

60歳の時は「アグン山還暦祝い登山」を遂行した。

同行させられた友人たちは、迷惑したんだろうな。

今回も人の迷惑を顧みず、アグン山山頂で古希を祝おう「サンライズ・トレッキング・ツアー」を企画。

『itosanを知ってる人も知らない人も、老若男女、みんな集合!

パサール・アグン寺院からの4時間30分岩場コース。

みんなで登れば怖くない。』

そんなキャッチフレーズで、脳天気な募集内容を書いている。

還暦登山に同行したコテツちゃんとトシ君からは「えっ! また登るの?」と疑問符の返答。

辛かった登山をすっかり忘れている、こりない男がtosanです。


集合場所は、ニュークニン村にある「バロン・ブリッジ・カフェ」。

集合時間は、午後10時。

一番のりは、大原さんと私。

参加者は他に「バロン・ブリッジ・カフェ」のトシ君、そして「和るん・あんかさ」のコテツちゃん。

旅人のミチヨさんとあっ君の総員6名。

まずは結団式(寄せ書き)。

寄せ書き4.jpg

午後11時、14人乗りの小型バスに乗り込む。

見送りの知人たちに励まされ、バロン・ブリッジ・カフェを出発。

アパ?情報センターのワヤン君は、登山不参加で助手席を暖める。

ワヤン君から「HARI SUCI HINDU=ヒンドゥーの聖なる日」には、パサール・アグン寺院からの登山はできないという話があった。

神様が休みの日だからだ、そうだ。

これまでの登頂で、一度も ”聖なる日” に当たらなかったのは必然か。

運転手は、知人のロロス君だった。

ミチヨさんから「到着まで、車中でゆっくりお休みください」と襟巻き枕の誕生日プレゼントがあった。

優しい心遣いが嬉しい。


0時10分、パサール・アグン寺院に到着。

観光客の訪れることの少ない寺院は、漆黒の闇に包まれていた。

深夜走行は渋滞がないからか、1時間10分という早さで着いている。

日付は変わったが、誕生日の祝いは頂上でということなのだろう、誰からも声はかからなかった。

駐車場の一画にあるワルンの電灯がともっている。

先回の下見で、ガイドのコマンさんに会ったのがここだ。

コピ・バリで暖をとりながら、ガイドのコマンさんを待つ。

コマンさんが、Tシャツ姿で現れたのには驚いた。

もうひとり、地元ガイドのワヤン君が同行する。

入山の記帳をすませ、いよいよ、登山の決行だ。

数台の車が駐車場に入って来た。

車から欧米人が降り立つ。

彼らも、サンライズ・トレッキングのグループだ。

登山道は、パサール・アグン寺院の横手にある。

午後1時、駐車場から見上げる長い階段を上って寺院に入る。

10年前は、この階段で音を上げていた。

今回は、心配したほど疲れていない。

私の体力は、進化しているかもしれない。

登山の安全を願って、全員でお祈り。

深夜のお祈りは、昼間の比べ静寂が深い。

円陣を組んで「ファイト〜!」の声で気勢を盛り上げた。

円陣1.jpg

静寂の寺院に、奇声が響き渡る。

少しは、テンションが上がったろう。


午前1時15分、登山開始。

10年前は、2時スタートで6時半前に頂上を征服して、サンライズを拝んだ。

(パサール・アグン寺院から登る頂上とブサキ寺院から登る頂上は、異なる)

あの時より、45分早い。

深淵の闇に向かって、一列縦隊で進む。

湿り気が満ちる林道。

額に付けたヘッドライトが、足下を照らす。

ライトが、朝もやをまるく浮き上げる。

林を照らす。

木々を飛び移るリスの姿が見えた。

左右は渓谷。

峰伝いに登っているよのがわかる。

かなり狭い峰を歩いている。

快適な滑り出しだ。

これなら行けるかも、と手応えを感じる。


勾配がキツくなって来た。

生易しい角度ではない。

目の前を、立ちはだかるように切立っている。

これは登山で、トレッキングなんて生易しい言葉を使ってはいけない。

林道を抜ける前に、大原さんがリタイアした。

中間地点にも到達していない。

大原さんに合わせていたスピードが、私のスピードに変った。

立ち木が、だんだんと少なくなってきた。

足下は、岩が砕け、さらに小さくなった石の道。

歩き辛い。

ガイドに「あと何時間」と問うと「3時間」と答える。

このペースでは、サンライズには間に合わない。

10年前と同じリズムで前進しているつもりだが、距離が縮まらない。

休憩の数も少ないし、休む時間も短いのに。

後続の登山者に追い越されていく。

雲間から時折見える、満天の星空に癒される。

岩場ルートになった。

ここからは、さらにキツイコースになる。

私も大原さんと一緒に残ったほうがよかったかも、後悔する。

薄明かりの中で、雲海が見渡せた。

下界では見られない雄大な風景に、精神力を鼓舞する。

私のペースに合わせていては、サンライズは拝めないのは確実だ。

仲間にサンライズを見てもらいたい。

こんな気持ちで、大原さんもリタイア宣言したんだろうな。

私の足が、限界に達したかのように動かない。

ここであきらめよう。

「ここの窪地で休憩するから、先に行って」

休憩をリタイアと言い変えてもよかった。

登頂を続ける友人たちの姿が、岩場に見え隠れする。

私の心は、少しでも頂上に近づきたいと願っている。

友人たちが下山してきたとすれば、その地点から私も下山すればいい。

そんな思いから、歩み出した。

後ろには、コテツちゃんが控えてくれている。

重い足を引きずるように、ひたすら頂上に向かって進む。

倒れ込むようにして登る。

何度も何度も「ギブアップ」の誘惑と闘う。

寄せ書きの旗を頂上に掲げたい。

7時30分、そんな思いが頂上まで導いてくれた。

頂上6.jpg

先駆けの仲間たちの暖かい声援を受けて、登頂を果たした。

1時間の遅れだったと、あとから聞いた。

みんなよく待っていてくれた。

感謝!感謝!

朝陽は拝めなかったが、山頂で誕生日を迎えることができただけで満足している。

まずは、お祈り。

無事に登頂できたことに感謝。

身体の芯が、アグン山にコネクトした。

あとは空となり、バリの神々に委ねるだけ。

お祈りのあと、トシ君からいただいたイチゴ・タルトをほうばりながら、コテツちゃんがドリップしてくれたアンカサ・コーヒー飲む。

至福のひととき。

「和食・影武者」からの差し入れ ”おにぎり” に空腹を満たしながら、アグン山の頂きを満喫する。

頂上でのフィナーレは、あっ君から書き下ろしパフォーマンスのサプライズ・プレゼンだった。

今回の登山で、ミチヨさんとあっ君という掛け替えのない友人を得た。

天候にも恵まれ、思い出深い「古希記念アグン山登頂」でした。

みんなありがとう、そして、お疲れさま。

下山8.jpg



1997年の「アグン山登頂」は・極楽通信vol.22「●The Twilight Rider アグン山登頂!」P12に記録されています。


posted by ito-san at 19:49| Comment(5) | ウブド村帰郷記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
70歳のお誕生日と、皆様ご無事で登頂を果たせたこと、おめでとうございました。

私もアグン山は飛行機から拝見しましたが、いつかあの雄大な姿をぜひ一度間近で見てみたいですね。
Posted by 藤野 at 2017年08月01日 12:56
藤野さま

コメントありがとうございます。
まさに無事登頂できたことに、感謝です。
アグン山登山、是非、挑戦してください。
Posted by ito-san at 2017年08月02日 16:08
伊藤さん、お誕生日おめでとうございます。
お元気そうで何よりです。

来週12日-14日までレスタリ、14日-16日まではウマダウに宿泊します。
お会いできたらいいですね。
Posted by いいやま at 2017年08月06日 17:30
いいやまさま

12日の夜8時過ぎから数時間「和るん・あんかさ」に居座る予定でいます。それ以外は、夜9時過ぎの「和食・影武者」にて、グダグダしています。
Posted by ito_san at 2017年08月07日 18:06
本日、台北に滞在しています。明日夕方ウブドに入りますので、あんかさでお会いできればと思います。
Posted by いいやま at 2017年08月11日 20:58
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