2018年03月13日

古都バンリを巡る旅!(190)

10世紀半ばから400年続いたバリ王国=ワルマデワ王朝時代、バトゥール山の山裾にあるこの地は、バリで最も気候のよい領地として王家の避暑地だった。

バンリの名称が使われるようになったのは、ゲルゲル王朝が隆盛を極めていた16世紀なかばのこと。

当時の王が、息子のひとりデワ・グデ・バンチンガンに「北西に進み、赤い森に出たらそこに自分の王国を造るように」と伝えた。

バンチンガンは言われるままに進み「赤い森・bang giri」を見つけて王国を興した。

バンリとは、バン・ギリがなまったものだと言われている。

現在は、バンリ県の県庁所在地。(参照:地球の歩きかた・バリ島)


1995年のこと。

バンリ市内の安宿に宿泊し、市制記念行事や寺院を訪問した。

その時、ダラム寺院のオダラン(寺院祭礼)で知り合ったのがワヤン・バンリ君。

現在彼は、奥様のイブ・アユ・ラクシュミさんと《サティア・サイババ瞑想センター》を主宰している。

瞑想センターでの名前は「Yan Govinda Krisna 」。

夜の境内で、ワヤン・バンリ君は、日本語で話しかけてきた。

「日本語を勉強しています。友達になってくれませんか?」

唐突な、友達申請だ。

滅多に日本人観光客に出会うことがないので、勇気を出して声を掛けたという感じ。

「明日、宿を訪ねます。バンリを案内させてください」

新手のガイド売り込みかもしれないが、それならそれで良い。

熱心に日本語を勉強していることが感じられたし、外見も好感が持てた。

私で役に立てるなら付き合ってみよう。

翌朝、ワヤン・バンリ君は約束通り宿を訪ねてきた。

お薦めの場所を案内してもらうことになった。

・バンリ王宮

・ケヘン寺院(11世紀頃、国寺として、スリ・ブラフマ・クムティ・クトゥによって建立されたと言われている)

・バンリの丘(クヘン寺院北側にある、バンリの街を見下ろすことのできる小高い丘)

・プングリプラン(伝統村)

・ジュヘム村のチャンディ遺跡

・ティルタ・ハルム寺院

・ジャンクリックの丘

・グリアンの丘

これらを2〜3日かけて回ったと記憶している。

その時のコラムを「極楽通信・UBUD」の Vol.8(1995年4月25日発行)「UBUDよろず百科」に掲載した。
http://www.potomak.com/bali/ubud/vol-08.pdf

「BANGLIは今日も雨だった」と、しょうもないタイトルで紹介している。

こちらも、一読ください。

Club Bali・極楽通信UBUD」からダウンロードできます。


この年、「アパ?情報センター」開設を計画中だった私は「仕事をする気ならウブドに来い」と誘った。

こうして、ワヤン・バンリ君は、1995年8月20日設立のメンバーに加わった。

バンリは不思議パワーの強い土地柄で、高名なバリアンが多くいる。

宗教心が篤く瞑想好きな彼には、バンリの寺院巡りとバリアン訪問を担当してもらった。

「バリアン・ツアー」の始まりだ。

ワヤン・バンリ君がアパ?のスタッフに加わったことで、私のバンリ巡りは熱心になった。

バンリ地方に残るトランス儀礼の幾つかを鑑賞することができた。

瞑想スポットも、数々訪問した。

時には、寺院の奉納舞踊に誘ってくれた。


1995年に案内してもらった場所で、忘れられない情景がある。

今月の初め、その幾つかを巡った。

ジュヘム村のチャンディ遺跡は、変わらず静寂の中にあった。

バンリの丘にひっそりと佇む寺院の峰伝いの参道は、記憶通りに苔むしていた。




もっとも印象に残っているのは「ティルタ・ハルム寺院」の風景だ。

バンリ王国時代の王家の避暑地として作られた寺院。

豊富な湧き水をたたえた丘の中腹に、へばりつくようして建っている。

僧侶の読経と落水の音に誘われて、お祈りが心地よかった。

訪れたのは、オダランの真っ最中。

飾り付けも見応えがあった。

もう一度訪れたいと、前々から考えていた。

薄い記憶を頼りに、バイクを走らせた。

ウブドから40分ほどの街道に、案内板があった。

案内板には、550メートルとある。

記録では、350メートルになっている。

長い階段をくだった記憶はある。

川に向こうの崖に、寺院が見える。

清々しい水の音が絶え間なく聞こえる。

往路20分は、思っていたほど大変ではなかった。

境内に入ると、心地良い風が通り過ぎていった。

ちょうど居合わせた村人と一緒に、お祈りすることができた。

念願は叶った。



女僧に別れを告げ、帰路につく。

復路は、ハードだった。

時間的には30分ほどだが、急勾配の登り階段が老体にはキツい。

疲れ果てて沿道に倒れこむ。

その時、横になって撮った動画がこれ。




帰路がなければ、何度も訪れたい寺院なんだがな〜。

できれだ、オダラン時に訪れたい。

オダランの初日は、ウク暦の第九週(JULUNGWAGI)・SELASA (ANGGARA) KLIWON。

今年は、5月15日にあたる。

体力を鍛えて出直してくるか。


posted by ito-san at 16:15| Comment(0) | ウブド村帰郷記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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