2018年05月19日

「スアールアグン芸術団」団長・スウェントラ氏逝去(199)

5月9日深夜(00時25分)ウブド在住の知人Aさんからメッセンジャーが届いた。

文面には「スウェントラさんの容態が非常に悪く」と書かれてあった。

察するに、以前から病気だったが、容態が悪化したということか。

「サンラー病院に入院されてますが、会いたい、と思われる方は躊躇せず会いに行った方がいいような状態です」

これって危篤ということでしょう。

「ステージ4のガンで、この2ヶ月ほど急激に容態が悪くなったようです」

ここ数年交流がなかったので、まったく知らなかった。

「奥様のKさんは、あまり公にしたくないようなので、スウェントラさんの昔からのお知り合いの方にだけ、取り敢えずお知らせさせていただいています」


スウェントラ氏は、ジェゴグ・ファンなら誰でも知っている「スアールアグン(Suar Agung)芸術団」団長さん。

廃れたジェゴグを復活させ、30年の間に世界的民族音楽に仕立てた中心人物だ。

私がスウェントラ氏を知ったのは、1992年のこと。

ウブドから車で5時間かけて、ジュンブラナ県ヌガラ郡サンカルアグン村のスウェントラ氏の屋敷に出かけた。

裏庭で、スアールアグンのジェゴグを鑑賞した。

ジェゴグ体験は2度目だが、スアールアグンを聴いたのは初めて。

視覚・聴覚に圧倒的なパワーを感じた。

波動が、大気と地面から押し寄せてくる。

いつのまにか涙を流していた、のを思い出す。

この感動を多くの人と分かち合いたいと「アパ?情報センター」主催で、定期公演を企画した。

5時間の道のりが苦でなかった。

定期公演が手を離れてからも、応援は続いている。


5月9日早朝(9時37分)には、知人NさんからLINEが届いた。

Aさんと、同じ内容のメールだった。

先日まで自宅で治療していた、と書かれていた。

入院先は、サンラーの肺専門病棟。

肺がんだったのか?

お見舞いについては「会いたい人は早めに行った方がいいかも」とあった。


5月9日(11時41分)Aさんから「個室に移るまでは、お見舞い控えてほしい、とのことです」と連絡が入った。

「個室に移ったらまた連絡をくれるそうです」

危篤状態なので、面会もままならないのだろう。

いや〜な胸騒ぎがする。


5月10日(午後3時51分)訃報の第一報は、Nさんから届いた。

逝去は、午後2時。

情報を得てから、瞬く間の急逝。

信じられないの一言。

信じたくないのかもしれない。

考えることを放棄した。


これより約1時間前(午後2時41分)名古屋の友人Mさんからメッセンジャーが届いていた。

スウェントラ氏の手術費用に対して、フェイスブックで寄付を募っているということだった。

他の知人からも「寄付をしたいのですが?」と、連絡が入っている。

奥様のKさんが公にしたくないというのだから、控えた方のがようだろうと思った。

内容がわからないので、私は名古屋の知人に、もう少し様子を見てからと返事をした。

すでに、この時には他界していたのだ。

寄付を募っていたのは、スウェントラ氏の息子グデ・オカさんだった。

アメリカに在住しているグデ・オカさんが英語でコメントしているのを、日本人の知人がシェアしていたようだ。


16日の火葬儀礼に参列してきた。





芸能解説:http://informationcenter-apa.com/gk_jegog.thml「ガムラン・ジェゴグ(jegog)」
極楽通信:http://informationcenter-apa.com/gt_jegog_1.html「感動の槌音・ジェゴグ」


1948年生まれのスウェントラ氏。

享年69歳は、私より1歳若い。

安らかな永眠をお祈りいたします。



*ウブドに絞り込んだ、ものすご〜くマニアックなYouTubeをやっています。
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YouTube伊藤博史の生涯旅人「バリ島ウブドに沈没」
https://www.youtube.com/@bali75
posted by ito-san at 23:07| Comment(2) | ウブド村帰郷記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 スウェントラ氏のご逝去、残念です。私は一度だけ公演を聴きました。人懐っこい人柄が印象的でした。

 ところで、10日の逝去ならば16日の火葬儀礼は通常よりだいぶ早いのではないでしょうか?何か事情があったのでしょうか?私がよく利用するカランガセムの運転手の祖父の火葬式は、死去後13年目だと言っていました。彼の父親は村の村長で、彼自身はジャワの大学を卒業しています。2004年で費用が1億ルピアかかったとのことでした。
Posted by 玉置 空 at 2018年05月21日 22:14
玉置 空様

コメント、ありがとうございます。
スウェントラ氏はマンク(僧侶)のため、埋葬されず、火葬儀礼に入ります。
上位カーストやお金持ちも同様です。
儀礼費用の準備できない家では、村の合同葬儀で執り行われます。
カランガッサムの知人の火葬儀礼は、どんな都合があったんのでしょうかね? 興味あるところです。
Posted by itosan-ubud at 2018年05月22日 14:57
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