2018年06月30日

ATM最終話『祝い再発行!』(207)

ATMの結末を気にかけてくださっている方がいるかも・・と考え。

これが最後の報告になることを期待して、アップします。

「いやいや、もうチュクップ(cukup=インドネシア語で充分に意)です」

こんな声が聞こえてきそうですが、まあ聞いてください。

毎度の夜の影武者でのこと。

銀行に出向いても、カードは発行されなかったという話をした。

その場のみんなは、「それは、怒らなければいけないよ」一応に言う。

怒れば、銀行側も困って発行してくれるというわけだ。


6月26日:「3度目の正直」

この諺が、ふさわしいかどうか不安ですが、とにかく3度目の銀行詣でです。

今回の私は、怒るゾと心に決めて部屋を出た。

銀行には、午前10時に着いた。

今日も、人で埋め尽くされている。

整理番号は528。

番号は、500から始まっているにだろう。

電光掲示板に表示されている番号は516。

かなり待たされるだろうと、覚悟した。

運良く、一番前の長椅子の左端が一人分あいていたので、腰を下ろした。

いつもなら待ち時間を利用して本を読むのだが、今朝は早く起きたのでまだ眠く、本を取り出すのをやめた。

どう怒るか、を考えることにした。

他人に怒りをぶつけることは得意でない。

怒りは、いつの間にか自分にも原因があるかもしれないと考え直している。

デビットカードをATMに飲み込まれてしまったのも、私の落ち度かもしれない。

自分に自信がないのだ。

時間が経つと、許している。

どうせ、私のインドネシア語や英語では通じないだろう。

演技で怒ってみようか。

待ち時間が1時間を過ぎた。

エアコンで身体が冷えてきた。

風邪をひきそうだ。

私の番が回ってくるまでは、まだは時間がかかるだろう。

さらに30分が過ぎると、トイレに行きたくなった。

順番は、あと6人目。

今トイレに立つと、戻ってきて座るところがなくなっているかもしれない。

立って待つのは辛いので、ギリギリまで座っていることにした。

電光掲示板の数字が525番になったが、そこから、先になかなか進まない。

辛抱できなくて、トイレに立った。

トイレから出ると、電光掲示板の表示が530と変わっている。

私の番号が飛び越えられた。

先客が座っているカウンターと銀行員のいないカウンターがある。

幸い、先ほど座っていた席が空いていた。

もう一度、腰を下ろした。


空いていたカウンターに、女性銀行員が座った。

私は席を立ち、整理番号528を見せた。

女性銀行員に「デビットカードを再発行したいのですが」と告げる。

「それで?」と言う顔をされたので、カードが戻ってこなかったことを説明した。

「では、デンパサールの本店に電話をして確認してみますので、しばらくお待ち下さい」丁寧な対応。

この段階で、私は怒る気力は失せていた。

彼女は席を外し、本店とコンタクトしたのかどうかはわからないが、しばらくして戻ってきた。

「調べるのに時間がかかるので、紛失届を提出したほうが早いですよ」と提案された。

「紛失届は、銀行が出してくれるのですか?」

「いえ、あなたが警察に行ってもらってきてください」

私がなくしたわけでもないのに、なぜ、私が警察に出向かなければならないのか。

警察は、なぜか緊張するので行きたくない場所だ。

グズグズしていて、書類作成に時間がかかるだろう。

ここは、怒ってもいい場面ですよね。

「今から警察に行って紛失届の書類を申請して、来週、出直して来るのですか?」不満を含んだ言葉で言ってみた。

「警察はすぐに作ってくれます。今から行ってください。戻ったら、私を指名してください」彼女はニッコリと微笑んだ。

「私は言葉ができないので、手紙を書いてください」ささやかな抵抗をした。

彼女は、メモを書いてくれた。

私は素直に、ウブド警察署に向かった。

警察署には昨日、大原さんに付き合って20年ぶりに来ているので、今日は緊張も少ない。

受付カウンターでメモを見せると、ベンチに座っていた男性が私を部屋に案内した。

書類はスムーズに出来上がった。

お礼も受け取らなければ経費も受け取らない、クリヤーな警察になっていた。

銀行に戻り、再び彼女のカウンターに着く。

時間は、昼12時を大きく回っていた。

「昼食はすみましたか?」彼女に、こんなことを聞く余裕ができている。

「私は、先ほどすませました。あなたわ?」

525から番号が進まない時に食事をとっていたのだろう。

私はまだですと答えると「飴でも食べてください」とカウンターの隅ある飴の入った器を指差した。

こんな会話をしながら、カードは速やかに作られ、再発行が完了した。

「テレマカシ!」と声をかけて席を立つ。

ガードマンに手伝ってもらい、新しいカードに、新しい暗証番号を登録した。

こちらの銀行のガードマンは、受付の役目もするのだ。

こうして、私のATM問題は、解決したのであった。



posted by ito-san at 03:26| Comment(0) | ウブド村帰郷記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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