2019年02月15日

ケヘン寺院のビンギン樹に会いに(295)

バリ島には、8つの県がある。

北の「ブレレン」、左周りに「ジュンブラナ」、「タバナン」、南に「バドゥン」、東隣に「ギャニヤール」、その東隣に「クルンクン」、クルンクンの北部に「バンリ」、東端が「カランアサム」。

この中で、海に接していない県がひとつある。

バンリ(Bangli)県だ。

私の滞在するギャニヤールの東隣に位置している縦長の県。

北部に、風光明媚なバトゥール山とバトゥール湖を有する。

珍しい儀礼の多い地域で、私は何度も訪れている。

奉納舞踊で幾度か参加させてもらった地域でもある。

県庁所在地は、バンリ市。

バンリ市には、バンリ王朝時代の国寺であったクヘン寺院(Pura Kehen)がある。

11世紀頃、スリ・ブラフマ・クムティ・クトゥ(Sri Brahma Kemuti Ketu)によって建立された。

市北部の小高い丘に、町を見下ろすように建っている。

境内のビンギン大樹は、樹齢600年。

大樹の胴回りは、私の目算でおよそ30メートル。

樹元に耳を当てると、水が吸い上げられる音が聴こえるようだった。

余談だが、アパ?情報センターのスタッフだったワヤン君をスカウトしたのは、クヘン寺院近くのダラム寺院の祭礼日だった。

通称ワヤン・バンリと呼んでいた。

ワヤン・バンリ君は今、インドのサイババから支持を得て、バンリ市にアシュラムを開いた奥さんのアシスタントをしている。


2月4日:久しぶりに朝から晴れ間が見えた。

このチャンスを見逃す手はない。

思い切って、ケヘン寺院のビンギン大樹に会いに行こう。

いざバンリへ・・・・・。

ウブドからバイクで40分ほどで着く。

祭礼のない平日、参拝客は私ひとり。

ビンギン大樹目指して、階段を上っていく。

闖入者に驚いた犬が、吠える。

大樹は今も、かつての姿を残し佇んでいた。

見上げる大きさと、気根の造形に圧倒される。

現在、壁に拒まれて一周することはできない。

以前訪れた時には、大樹の周りを一周できた。

その時に、話し掛けてきた老人の名前は「グデ・ライさん」。

幾人かの日本人に、ワヤンクリッを教えたと言っていた。

ウブドに戻りカセットショップを覗くと、グデ・ライさんのカセットが販売されていた。

ダラン(ワヤンクリッ=影絵芝居の演者)で有名な人とは知らず、バリ芸能について語り合った。

寺守りの村人にグデ・ライさんの消息を聞くと、「亡くなった」と悲しい情報が返ってきた。



線香と花を寺守りの村人に用意してもらい、奥の境内に腰を下ろす。

静寂の中でのお祈り。

合わせた両手の指先に花を挟み、眉間の前にもっていく。

神聖で厳かな涼風が頬を撫でていった。



ケヘン寺院は、アパ?情報センター:「古都バンリを巡る旅!」などのツアーで参加できます。

見どころは、ワヤンの登場神の石彫、樹齢600年を超える巨大バンヤン樹、壁に埋め込まれた中国陶器など。

何と言っても、心地よい風が心身を癒してくれる。

是非、ご利用ください。


posted by ito-san at 16:29| Comment(0) | ウブド村帰郷記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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