畦道ですれ違ったおばさんに「アロンアロン!(alon alon)」と声を掛けられた。
アロンは、バリ語の丁寧語でゆっくりの意味。
2度続けるのは、強調しているのだろう。
疑問をバダさんにぶつけると、ジョグジャカルタの王宮(クラトン)で使われる言葉とジャワ語とバリ語は、ルーツが同じだと言う。
マゲランは、ジャワ語圏だからと納得。
バリ語のNikiもよく聞く。
Nikiは丁寧語で、普通語はNe、インドネシア語のIniだ。
インドネシア語の「ゆっくり」には、いろんな言葉があるようだが、私は「プランプラン(pelan-pelan)」を使っている。
ボロブドゥール遺跡(Candi Borobudur)見学は、4月17日にした。
この日は平日、おまけにインドネシア大統領選挙の投票日。
訪れる客は、少ないだろうと考えた。
と言っても、投票日は公休日になる。
投票を終えてから来る人もいるだろう。
私は、午前9時に小屋を出た。
バス停は、チャンディ・パオンへ(14日)行った時に、バスが止まった雑貨屋の前とした。
手を上げればどこでも止まってくれるが、人目を引く場所のほうより良いだろう。
雑貨屋は、開店前だった。
バスの姿は見えない。
私は、隣のワルンに歩いて行った。
店内には、3人の男性と女将らしいおばさんがいた。
男性の1人が「チャンディ・ボロブドゥールにいくのか?」と声を掛けてきた。
私が「そうだ」と答えると、「オジェックで行け!」と続けた。
「Rp25,000-」のバイクタクシーをすすめてくる。
「私はバスに乗りたいのです」フレンドリーに断った。
「今日は投票日だから、午前中バスは走らないよ」
男性は私の出鼻を挫くショックな言葉をはいた。
昨日の夕食時、会話の中でそんな話をしていたような気がする。
バダさんは「投票時間は朝から晩までだから、交代で投票して交代で勤務に就くことも考えらるよ」とも言っていた。
時間は今、9時15分。
午後を迎えるには、まだまだ時間がある。
小屋に戻って出直すか、歩いて行くかの二者選択。
オジェックを頼む手段もあるが、今回の旅では避けたい。
出直すのも気勢がそがれるし、片道3時間を歩くのも大変だ。
さて、どうしよう。
とりあえず、ワルンでコピを頼んだ。
コピを運んできた女将に、チャンディ・ボロブドゥールまでのバス料金を尋ねた。
その答えがなんと「私は、バスに乗らないから知らない」だった。
女将はオジェックの男性に気を使ったのだろうが、私の女将評価は最低となった。
「Rp5,000-!」奥から男性の声が聞こえた。
3人の男性がワルンを出るのを見送りながら、コピの口をつけた。
"甘〜い!"
女将の評価は、さらに下降していった。
コピは口をつけただだけで、残してきた。
料金はRp10,000-、高く感じるのは気のせいか?
”何も考えずに、歩こう〜!” 元気よく歩き出した。
しばらく歩いて、考え始めた。
チャンディ・ボロブドゥールに3時間掛けてたどり着き、そのあと見学。
果たした、回廊を周り周り、天辺まで登って行ける気力・体力は残っているのか。
私は、どうでもいいようなことを、くよくよ考える人種のようだ。
バスの姿は見えない。
今なら、小屋に戻って出直す時間もある。
どうしよう。
体は、戻る行為に移っている。
道端に、座り込んでいる青年がいた。
少女が、近くにたたずんでいる。
バスを待っている仕草だ。
「今日、バスは走らないんですか?」と聞いてみた。
「30分も待てば、来るよ」元気が出る言葉を聞いた。
青年と一緒に、ここでバスを待つことにした。
おばさんがひとり、こちらに向かって来る。
”ここはやっぱりバス停なんだ” 喜んだのも束の間。
おばさんは、私の横を抜けて小道に入って行った。
”あらら!” 青年と少女がついて行ってしまった。
振り向くと、バスが向かって来るところだった。
結局のところ、雑貨屋の前に立ってから、バスに乗るまでの時間は30分ほどだった。
ボロブドゥールのバスターミナルまで、10分ほどで着いた。
バスに乗れてよかった。
バスターミナルからチャンディ・ボロブドゥールまでは、歩いて5分ほど。
チャンディ・ボロブドゥールは、今回で3度目の訪問。
1度目は30年近く前、2度目は20年近く前で、ボロブドゥールの印象は曖昧だ。
インターナショナルのチケット売り場で身分証明書(KTKK)を見せると「ドメスティックで入場できます」と言われた。
外国人価格の大人Rp350,000-が、現地価格になる。
ドメスティックのチケット売り場に移動して、身分証明書を提出する。
電光掲示板にはRp40,000-とあるが、実際に払ったのはRp36,000-。
なぜか、安くなっている。
午前10時に入場した。
遺跡公園だから入園かな。
回廊を一層二層三層と周りながら、曼荼羅を上っていく。
遺跡公園をあとにしたのは、正午12時を回っていた。
2時間を費やしたことになる。
無教養かなと思われるのもしゃくだから、ネット検索したチャンディ・ボロブドゥールの解説を添付しておく。
ジャワ島中部のケドゥ盆地にあるチャンディ・ボロブドゥールは、カンボジアのアンコール・ワット、ミャンマーのバガンと並ぶ、世界三大仏教遺跡のひとつ。
チャンディは、8世紀に栄えたシャイレーンドラ王朝によって建造されたとされている。
ピラミッド状に積み上げられた建造物は、仏教における宇宙観を立体の曼荼羅として表している。
各層の壁には、釈迦誕生図などの物語がレリーフで描かれ、これらを見ながら上層階に上っていくと、悟りの道が開けるという。
壮大かつ綿密に造られたものながら、完成後まもなくジャングルの中に埋もれ、1000年以上も人々の記憶から忘れ去られていた。
その理由は、火山の噴火によるもの、イスラム教徒の破壊を恐れて埋めたというものなど、諸説が囁かれている。
以上、簡単にまとめてみました。
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