寂しいニュースをお伝えしなければならない。
ウブドの人気イベント(自称?)だった「ウブド・本の交換会」が、閉会することになった。
9月1日「和るん・あんかさ」主催を持って、終了。
実に、100回。
幕開けの第1回は、2009年3月21日「カフェ・アンカサ」だった。
10年間、続いたことになる。
私が長期滞在を始めた1990年代、ウブドに紀伊国屋もBookOffもなかった。
あれから30年になろうとする、今もない。
バリ島内どこを探しても、日本の新書を扱う書店はなかった。
日本人のバックパッカーが手放していった本が、数件の古本屋で手に入る程度。
古本屋の本は、旅行記や精神世界系に偏っていた。
現在、古本屋の姿を見かけない。
知り合った旅行者が置いていった本が、数冊。
その本も、ほとんどが旅行記か精神世界系だった。
観光客が増えるとともに、日本語の書物が少しずつ手に入るようになった。
作者やジャンルも囚われている余裕はない。
恋愛・推理・歴史・エッセーなんでも読み漁った。
ビザ取得でシンガポールに出掛けると、三越百貨店内にある「紀伊国屋書店」を覗き、物色する。
税金が加算された本は節約旅行者には贅沢品で、一冊手に入れるのにサンザン悩んだことを思い出す。
長期滞在者のほとんどが、こんな読書事情の中で暮らしていたと思う。
私は、読書好きというわけではなかった。
日本では、ビジネス専門書かインテリアデザイン関係の雑誌しか読まない。
こんな私が、活字に恋しくなったんですよ。
貪欲に本を読みたい人には、本の絶対数が足らない。
「新しい本が読みた〜い!」
そんな要望から「ウブド・本の交換会」が、スタートした。
言い出しっぺたちが、実行委員スタッフに任命された。
ピンクのスタッフ・Tシャツ
最初は、純粋に本の交換が目的だった。
徐々に、コミュニティーの場としての役目も担っていった。
本を読む人が減っているようにも思われる。
インターネットに詳しくないが、電子書籍が読めるようになったのが大きな要因だろうか?
蔵書の新陳代謝が悪く、参加者の足が遠のいていく。
新陳代謝を促進するのは、旅行者の協力が必須だ。
旅行者に絶好の情報交換の場になるだろうと考えていたが、まったく見向きもされなかった。
何度も存続が危ぶまれたが、スタッフミーテングで打開策を考えてきた。
推薦本の紹介。
スタンプカードの発行。
交換の方法をポイント制にした。
本の交換だけでは人が集まらず、来場を促すために、さまざまなプランが出た。
フリーマーケットとバザーを併設した。
フリーマーケットの古着は、地元の娘さんたちに評判がよかった。
おでん、たこ焼き、お好み焼き・焼きそば、ラーメン、ピザ、ケーキ、豆腐、様々な総菜がテーブルに並んだ。
売り上げの10%が「ウブド・本の交換会」の活動資金としてご寄付された。
寄付金が貯まると、新作文芸書を購入した。
ポイントカードの景品購入に、寄付金を充てたこともある。
年末には「大ビンゴ大会」を催した。
景品のスポンサーになってくれた、ホテルやレストランやスパetcに感謝した。
一般公募した「ゆるキャラ・ハノメン」も、あと製作に入るだけという段階で頓挫してしまいましたね。
会場は「和るん・あんかさ(旧名:カフェ・アンカサ)」以外は、「ワルン・ソフィア」「和食レストラン・萬まる」「サリナ・ワルン」「ビンタン・ダイニング」「ティー・ルーム」と転々とした。
楽しい思い出がいっぱいだ。
打開策のアイデアも枯渇し、手の打ちようがなくなった。
惜しまれる声も聞こえるが、これも時代の流れ。
本を抱えて交換に来る人、イベントを楽しみにして参加してくれる人もいる。
気をきかせたリピーターさんが、土産に日本の小説を持って来てくれることが嬉しかった。
新刊をどっさ買い込んで交換会に寄付してくださった「本の運び屋」さん。
一人一人の暖かい行為が、交換会を盛り上げてくれた。
そんな方々には、申し訳ない気持ちがいっぱいだ。
最後に、会場を提供してくださったお店、フリーマーケットやバザーに出店してくださった方々、準備&後片づけに奔走してくれたボランティアのスタッフ、会場に足を運んでくださったすべての皆さま。
本当にありがとうございました。
2019年09月21日
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