バリのことにまったく知識のなかった私に、強烈な印象を与えたのは、ガムランと呼ばれる青銅鍵盤打楽器オーケストラとガムランの音に合わせて繰り広げられる舞踊だ。
(ガムランには各種あるが、ここでは説明をはぶきます。各々、検索してください)
最初は、耳をつんざく激しい金属音に戸惑ったが、何度も聴いているうちに、BGMで眠れるほど心地良い音になっていた。
ロジャース・ホームステイから、5分ほど歩いたところにウブド王宮がある。
王宮の前庭では、毎晩伝統芸能のパフォーマンスが公演されていた。
夕涼みがてら鑑賞し、そのあとはセンゴール(夜市)で夕食がルーチンだ。
バリを理解するということは、バリ人を理解することと心得た。
バリ人の生活は、信仰と慣習と芸能が一体となっている。
どれひとつ欠けても、バリを理解することはできないだろう。
それでは、どうすればいいか?
芸能を、観客として鑑賞するだけではだめだ。
舞踊を習うことで、バリの文化を知る手立てになるのではと考えた。
大学の卒業論文に「舞踊レゴン」をテーマにしていた日本女性と知り合った。
レゴンを習っているというので、スグリオ通りのスタジオ・ナタラジャへ見学に行った。
先生のくちガムランで、先生の後ろについて真似をする練習方法だった。
振り付けを覚えたところで、カセット・テープを使った練習になる。
私も習うことにした。
男性が最初に習う踊りは、バリス・トゥンガル。
バリス・トゥンガルを一通り習うと、先生をプンゴセカンの村のコンピアン君に変えた。
奉納舞踊に参加することで バリ人の人生観を垣間見ることができるのではないかと考えるようになった。
人前で顔を見せて(おまけに化粧をする)踊るのは自信がないので、お面をつけて踊るトペン舞踊に挑戦することにした。
この時のエピソードは、極楽通信:バリ島で踊る「神々に捧げる踊り」を覗いてください。
https://informationcenter-apa.com/hounou2.html
舞踊トペンクラス
バリの伝統芸能は、バリ人の信仰する宗教儀礼に切ってもきれない重要なアイテムである。
彫刻、絵画、ガムラン、舞踊、ワヤンクリット(影絵芝居)などが奉納される。
ガムランの演奏は、宗教儀礼を司る際には、なくてはならないもの。
村では、必ずワンセット所有していて、スカゴン(グループ)を構成している。
村内の寺院祭礼で、年に数度奉納される。
ガムランには、神々を迎える楽曲や神々を慰める楽曲がある。
村人は、寺院祭礼のハレの舞台で演奏、演舞することに誇りを持っている。
同時に、娯楽の一つとしても楽しんでいるようだ。
ウブドの知名度が上がり観光客が増えると、寺院祭礼の奉納舞踊を鑑賞しようとする外国人が参列し、文化の違いによる問題が起こるようになった。
こういった問題をなくすために、奉納舞踊を観光客のためにパフォーマンスとして公演するようになったと言う。
後に、収益が目的となっていく。
ガムランは、村のスカゴン以外には、豪農、王族が所有していた。
豪農、王族のガムランは、娯楽性が強かったと思われる。
ガムラン演奏と舞踊に人気が高まってくると、クオリティの高いグループは他の村の寺院祭礼に呼ばれるようになる。
これは、幾らかの収入になった。
伝統芸能のパフォーマンスで、アルバイトができるようになったのだ。
王族、村以外に、芸術性を追求したプロの集団(サンガール)が旗揚げするようになった。
ウブド、プリアタンでは、王族の力が強くて、サンガールに発表の場を与えなかったという話を聞いた。
そんな時代に、旗揚げしたのがS・T・S・I(I・S・Iの前身)の卒業生で構成された「スマラ・ラティ」だった。
旧態依然システムを打開しようとする、彼らの反骨精神に共感した私は、全力で応援した。
会場が持てない弱小グループの苦労を乗り越えて、今の「スマラ・ラティ」がある。
スマラ・ラティ以外にも、海外からの脚光を浴びるクオリティの高いサンガールは増えている。
I・S・I(インドネシア芸術大学)の教授や生徒による新作が創作され、世に出て行く。
新作は人気が出ると、奉納舞踊でも披露される。
ここでこんな発言はふさわしくないが、私的には新作は好みじゃない。
これは年寄りの意見で、バリ人の若者は新しいものを望んでいるのだろう。
旧態依然のシステムを嫌った私が、新作を拒否してはいけない。
伝統芸能を在続させるのは、時代を担う若者の嗜好を優先しなくてはいけないのは、わかっている。
言いたいことは書いたので、わたし的には満足ですが、読み手の方々には不満足でしょうが、今回はまとまりがないままに終了です。
舞踊ムニエール(知人の家寺で奉納)
お待たせしました。
皆様、お待ちかねの企画です!
シェア&拡散のご協力、よろしくお願いいたします!
詳しくは、このプロジェクトのクラウドファンディングをご覧ください。
アクセスはこちら。
https://camp-fire.jp/projects/view/756887
動画は、コロナ禍でのオンラインライブ(2021年9月26日)練習風景です。
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