2024年08月15日

バリ島のホームステイって、どんなところ?(546)

1990年、ウブドで最初に泊まった宿は、カジェン通りの1番地「ロジャーズ・ホームステイ」だった。

ロジャーさんの民宿という意味だ。

ウブドの民家の多くが、ホームステイを営んでいる。

門や塀に、宿を商っているとわかる小さな看板が掛かっている。

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ガイドブックに載っていたので、泊まることにした。

当時は、電話も普及していなかったので、直接訪問だ。

現代はインターネットの普及で、高級ホテルから格安ロスメンまで、予約サイトで簡単に申し込みができる。


ところで皆さんは、ホームステイと言うと、どんなイメージをお持ちですか?

アメリカやオーストリアなどの語学留学に見られるホームステイを思い浮かべるでしょう。

私もそうです。

大きな屋敷の裕福な家族が、海外からの留学生や旅行者を迎え入れ、長期で部屋を貸す。

一つ屋根の下で、世話になるホストファミリーと一緒に、ダイニングで食事をしリビングでくつろぐ、家族ぐるみで付き合いだ。

家族との密なつきあいをすることで、その土地の文化や言語を習得する。

私のホームステイの認識は、こんなところだ。


それでは、ウブドのホームステイは、どんな感じか?

まず家の形態が違っていた。

これは私の常識を覆す、最初のカルチャーショックだった。

一戸建てではないのだ。

日本の家屋は、一つ屋根の下で、寝室、茶の間、食堂、台所、トイレ、風呂などが廊下で繋がって配置されていて、庭や駐車場がついている。

バリの場合は、青天井の敷地内に、それぞれの役割の棟が点在している。

これはバリ人の信仰するヒンドウー・ダムモの寺院も同様で、他の宗教のような建物を持っていない(キリスト教徒の教会、イスラム教のモスクetc)。

一番大事な家寺、儀礼が行われる棟、家長の住む棟、家族の住む棟、台所、トイレなどが伝統的なレオアウトで配置されている。

共有空間と個人空間が、屋根のない敷地内に形成されているのだ。

一つ屋根のない一軒家と考えれば、ホームステイに違いない。

私は家長の住む棟で、長期宿泊していた。

ウブドでのホームステイの宿泊は、日々繰り広げられるバリ人の信仰や慣習を垣間見ることができるのが、特権だ。

本人の気持ちしだいで、ホームステイの家族との親交を深めることも可能です。

宿として機能しているので、一泊でも滞在できます。

ホームステイで、リゾートとは違ったウブド体験をお勧めします!


■バリ伝統的屋敷の名称とレイアウト@スバリ村(488)
https://itosan-ubud.seesaa.net/article/498092242.html

家長の住む棟は、カースト外はムテン(Meten)、カーストを有する家ではバレ・ダジョー(Bale Daja)、グリヤ(高僧階層の屋敷)とプリ(王族の屋敷)はバレ・グドン(Bale Gedong)と呼び分けられている。


バリのカースト(kasta=階層)
https://informationcenter-apa.com/kb_kasta.html


このレイアウトは、ヒンドウー・ダルモの宇宙感から来ている。

ブアナ・アグン(大宇宙)とブアナ・アリット(小宇宙)。

ブアナ・アグンは、バリ島の山側の聖浄な方角、海側の不浄の方角、中間に人々の営みのあるバリ島のこと。

ブアナ・アリットは、聖なる方角に家寺、不浄の方角に台所&トイレ、その間に家族の生活がある。

屋敷はこの基本レイアウトを壊さずに、ツーリスト向けの棟を建てて宿にしているのです。


ロスメン以外の宿泊施設の名称には各種ある。
その話は「極楽通信・UBUD」70「ウブド・ホテル事情」で。
https://informationcenter-apa.com/gt_hotel.html

posted by ito-san at 23:13| Comment(0) | TrackBack(0) | ウブド村帰郷記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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